ケモミミ消しゴムはんこ講座

消しはん屋看板娘のミヤマとカレンの作り方講座です。動画版もよろしくお願いします。

消しゴムはんこの作り方_実践編_第7回_静謐のハサン(Fate/GrandOrder)

[今回のテーマ]静謐のハサン(Fate/GrandOrder)

 

今回原画として使用するのは、ブログキャラクター兼消しはん動画看板娘のカレン&ミヤマをデザインして頂いた『桐缶』さんのpixiv投稿作品『静謐のハサン(Fate/GrandOrder)』です。

【FGO】「静謐のハサン」イラスト/桐缶 [pixiv]

 

Fate/GrandOrder(通称FGO)にてアサシンのクラスで登場するハサンの武器は、彼女自身の体。全身毒の体質を持つ彼女の血液はもちろん、気化した汗すら猛毒なのです。

 

彼女自身で制御できないため、味方すら巻き込む危険な体質です。参戦元となる小説版『Fate/Prototype蒼銀のフラグメンツ』では、その体質であるがゆえに起きる悲劇や全身毒特有の暗殺場面が描写されています。

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ブログ初の背景込みの作品

 

正確には 影誇張の手法になってから、初めての背景込みの作品です。過去に使用してた単純配色の手法では何度か経験しましたが、『最初にどこまで大まかな線をとらえるか?』が大事なのはどちらも共通です。

 

これまでブログに紹介してきた作品はキャラクターの外周を捉えるところから始めていました。今回は背景も含めて外周を捉えるところから始めます。

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実質ここまでが前準備、ここからが本格的な作業開始となります。

 

飛び出たアイツがジャマをする

 

外周を捉える工程の中で気になる箇所がありました。

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たぶんビルの屋上の街灯だとは思うのですが、ここだけが外枠に伸びているのでなんとなくジャマだなとは 感じていました。とりあえずいつも通りの順番で作業する場合は、もう少しあとで処理する箇所なのでここでは無視していました。

 

しかし、セオリー通りビルの正面の背景から彫っていたとき・・・

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窓よりも低い位置を彫っているときは気にならなかったのですが・・・ビル屋上近くだと、飛び出たアイツが面倒な位置に居るように思えてきました。

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で・・・結局、ここは先に彫ることにしました。

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順番からすれば後回しにしても良いのですが、別の個所の作業中に気になって集中できない場合は先に彫りましょう。

 

ハサンの足に追加した影

 

作業途中、ハサンの足首辺りに影を追加しました。

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足の印象にちょっとだけ『重さ』が欲しかったので、影を少量ですが追加しました。無くても許容内だったでしょう。この作品を彫った時点では、『ビル屋上の街灯の光(あるいは月明り)がある程度は足元にも届いているだろう』と考えていました。

 

『ビル正面には屋上の街灯の光があまり届かない』と想定して表現するのなら、足首から下は完全に影にしても良いでしょう。『月明りすら遮断される』と想定したなら、膝から下はほとんど影になったと思います。

 

このように影誇張の手法は、彫る側の『シチュエーションの捉え方』で表現が大きく変わるのが特徴です。

 

ハサンの膝まで→消しはん右側の背景→ハサンの顔まで

 

背景が含まれるので彫る順番も変わってます。キャラクターまたは背景の片方を集中して作業してしまうと、どちらかの転写した線が手の下にくる確率が高くなるので作業が難しくなります。

 

基本的にはキャラクターだけの作品と同じように、特定の方向性を持って彫ることが大事です。その流れを考えた場合・・・ビル正面からハサンの膝まで彫ったら、次は消しはん右側(ハサン左側の背景)の作業になります。

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消しはん右側の背景が終わったら、つぎはまたハサンの作業に戻ります。左手を処理したら、太腿の付け根から顔までの流れで彫っていきますが、ハサンの右手は顔の後に彫ることをオススメします。

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今までブログをご覧になった方々なら、ここで両手(両腕)まで彫ってから顔に移った流れを見てきたでしょう。ですが今回は、ハサンの右手が肩よりも高い位置にあります

 

このまま作業すると、右利きだと顔の線が手の下にくる状態で作業することになってしまいます。なので、今回はあえて右手をスルーしてから先に顔を彫ります。

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変則的な順番にも思えてきますが、『しくじり確率』を減らす順番としてこのようになりました。

 

 

もう何も怖くない(訳:慢心はダメ。絶対)

 

ハサンが彫り終わったなら、あとは消しはん左側(ハサン右側)の残りの背景だけです。デザインナイフをほぼ垂直に立てて彫るような細かい線はここにはありません。

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ただし、このような開けた箇所は(とくに疲弊した後半に行う作業では)、『しくじり多発地帯』となっています。一度休憩するか、落ち着いて最後の背景箇所を彫っていきましょう。

 

開けた背景の彫り残しに注意

 

 

今回の原画『静謐のハサン』においては、ハサンの中の彫り残しは目立ちにくいでしょう。ハガキサイズに全身が入っている珍しいパターンです。個人の仮想ですが、頭からつま先まで範囲に入るケースはサイズの関係上、難しくなります。

 

ビルの屋上に座っている構図だったので、全身が範囲内に収まったのだと思います。このように全身が入っている場合は、キャラクターの各パーツの面積が必然的に狭くなるので押印時の変形は気にならない程度になるでしょう。

 

よってハサンの中の彫り残しは、押印テストで目立った箇所以外は無視してよいと思います。

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今回はどちらかというと、背景に気をつけるべきです。ハサンに比べると彫り込んだ箇所の面積が広いので、押印時の力による変形の影響が気になります。背景のサラエが入りそうな箇所は、無理のない範囲で凹凸を均しておきましょう。

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久しぶりの背景込みの作品作りを終えて

 

影誇張の手法は従来の単純配色の手法よりも時間がかかります。このような理由があったので・・・できるだけ背景がない原画を選んだり、背景を転写絵に反映してきませんでした。

 

今回は都合よくまとまった時間が確保できたので、久しぶりに背景込みで作りました。はやり+1時間以上はかかります。

 

+αの分大変な作業になるのですが・・・作品作りとしてはこちらの方が面白くて、出来上がったときの達成感は別格でした。

 

現実問題として確保できる作業時間次第になりますが、今後も機会があれば影誇張の手法で背景込みの作品に挑戦したいです。

 

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