消しゴムはんこの作り方_実践編_第8回_ネロ・クラウディウス(Fate/GrandOrder)
[今回のテーマ]ネロ・クラウディウス(Fate/GrandOrder)
今回原画として使用するのは、『サムーれ』さんのpixiv投稿作品『ネロ・クラウディウス(Fate/GrandOrder)』です。
【Fate/GrandOrder】「赤セイバー」イラスト/サムーれ [pixiv]
Fateオールスター集合のスマホゲーム『Fate/GrandOrder(通称FGO)』へは、『Fate/EXTRA』シリーズからの参戦キャラクターです。
通称『赤王』『赤セイバー』の他、とあるシリーズで使用したコスチュームから『嫁王』『嫁セイバー』などとも呼ばれているキャラクターになります。
ちなみに声優は『カードキャプターさくら』の『木之本桜』と同じ『丹下桜』さんです。とある新作発表会にて、ネロに『嫁セイバー』の通称を名付けたのもこの人です。
花びらの背景をどう作り上げるか
背景込みの作品という点では、前回のハサンと同じです。しかし、今回は花びらなので、パーツの面積狭い背景が点在しているという違いがあります。
ハサンのときよりも広い余白が有りそうに見える罠にも注意してください。実際は点在する花びらを壊さないように慎重に彫り進める必要があるので、ハサンのときの背景よりも時間がかかります。
背景を含めたネロの外周を彫るついでに、花びらはここで彫っておきましょう。先に花びらの外周を彫って境界線を作り、彫刻刀で余白エリアを彫ると安全に作業できます。
動画では彫り忘れた花びらがあります。これは近くを彫っているときに気がついて、ついでに彫りました。(動画撮影中は近くを彫るまで気づきませんでした。)
『難所』手前のネロのスカートから彫ろう
今回、私が難所として指定した箇所は2カ所あります。1つは先ほどの花びらの背景なのでもう終わっています。もう1つは近くまで作業してから説明するので、ここではとりあえずネロのスカートを彫っていきましょう。
ここは基本編の記事・動画のセオリー通りなので、基本ができている方にとっては簡単な箇所です。なので、画像でザックリとしか説明しません。
ただし、下記画像で指定した箇所は最後に彫ってください。
他に特記すべきことはないので、ネロのスカートを彫りましょう。
さて、2つめの難所がこの先に隠れています。『ネロ・クラウディウス』の『デフォルトコスチューム』ならではの難所です。『消しゴムはんこ特有の難所』という言い方もできます。
まずは下記画像で指定した箇所の周囲を彫ります。この構造の名称はわかりません。
ネロの胸から下のエリアの指定した箇所以外を彫ります。
画像で注意している通り、残す線の強度を考えて、『基本のV型カット及び台形断面』の基本を守りましょう。そしてここからが、今回のネロ・クラウディウス編の2つめの難所にして『最大の難所』になります。
ネロ・クラウディウスに隠れたAsymmetryの罠
『消しゴムはんこに彫られたキャラクター』と『原画のキャラクター』の絵はお互い『対称』になる。これを頭に入れてこの先の説明を聞いてください。
先ほどスルーした箇所を彫る前に、転写絵を描いたトレーシングペーパーの難所が描かれた箇所をもう一度、原画と比較して間違いがないか確かめます。
消しゴムはんこに写した線でも確認できなくはありませんが・・・直接消しゴムはんこに写した絵で確かめるということは、『対称に描かれた原画(※1)』と比較することになります。つまり、間違えやすい確認方法になります。
(※1_正しくは原画が正位置で、消しゴムはんこが反転の関係。)
対称パーツが単純な構造、あるいは反転しても構造の変化しないSymmetry(対称)ならつ直接確認しても間違いは少ないでしょうが、今回のように交差方向がある紐のようなパーツは間違えやすいです。
安全策として『そもそも転写絵が間違っていないか?』の確認をしましょう。当然ですが、彫ってから気づいてはもう修正できません。
キャラクター全体像を見ているときには、キャラクターのイラストそのものが対称として成り立っているので『反転絵状態で作業する危険』を意識するのですが、パーツ単位で彫るときにはその考えが抜け落ちてしまうことがあります。
原因の1つとして、パーツ単位でみると『(※2)対称』『非対称』の混在があるため、無意識に間違えてしまうことが考えられます。
(※2_キャラクターイラストにおいてパーツ単体の完全対称は滅多にないので、脳内の対称処理が『わかり易いパーツ』と『わかり難いパーツ』の混在と表現するほうが正しいと思います。)
これは今後も出てくる可能性のある『消しゴムはんこ特有の難所』なので、これを機会に改めて意識しておきましょう。
難所を超えたら残りの腕と胸を彫ろう
この先には難所という難所はないと思っていいでしょう。油断しないように注意して続行します。
ネロの顔と髪以外を彫り終えたいので、右腕→胸(首まで)→左腕の順で彫ります。
胸を彫る前に、右手の影を追加しました。意図的な誤字は、ブログ記事としては気にしないでください。
影の追加後は、順番通り右腕まで彫っています。
毎度のことですが・・・ブログでは動画に使用した画像を抜粋しているので、ミヤマとカレンの会話内容が欠けています。この2人の会話内容が気になる場合は、動画で確かめてください。
ついでに後ろ髪のリボンもここで彫りました。
順番的にシビアなパーツではありません。個人的に利き手側に少し出ていたのがきになったので先に彫りました。髪のついでに彫るか、最後に彫ってもいいでしょう。
決めろ!!アホ毛フィニッシュ!!
これで残りはネロの顔と髪だけです。あえてアホ毛を残していつも通りに彫っていきました。
ネロ本体の仕上げに、遊び心で『アホ毛フィニッシュ』を狙います。
アホ毛を彫って決めようと思っていましたが・・・・残念ながら彫り残しが発覚したので、『アホ毛フィニッシュ』は失敗となりました。
画像撮影時にはアホ毛を彫ったあとにこの彫り越しに気づいたので、順番を入れ替えることができませんでした。
ネロ・クラウディウスの彫り跡の注意箇所
ネロ本体を彫り終えたところで、不要な余白を切り離します。
背景を含めたネロの彫り跡で、不要な接触になりそうな凹凸を均します。今回、彫り跡を優先して均しておきたいのは下記画像のマーキング箇所です。
背景の花びらとネロ本体の線を壊さない程度にサラエを入れて仕上げます。
押印テストで不要な押印カ所の発生がなければ、完成です。
何度経験してもヒヤヒヤしたネロの難所
ネロ・クラウディウスのデフォルトコスチュームVerを彫ったのは今回が初めてではありません。ミヤマとカレンの動画ができる前から、何度か経験したことがあります。
それぞれ原画をお借りした絵師は異なりますが、何度彫ってもあの難所は失敗しそうで怖い箇所です。過去には危うくクロス方向が一カ所逆のまま彫りそうになったことがありました。
このように消しゴムはんこ作りでは、原画が反転された消しゴムはんこ上で作業する特有の間違えやすいトラップが存在します。
転写絵は原画を正位置でなぞるので間違えないを思う人もいるかもしれません。けれども人間というのは勘違いして描いてしまうことがあるのです。なので今回のように紛らわしい方向性のあるパーツは、転写絵の段階でしっかり確認しましょう。
基本的に消しゴムはんこ作りには、リカバリー手段の存在しません。彫り間違えたあとで気づくことがないように、パーツ単位で彫る前にも、もう一度、正しい線が描かれているか確認してください。
また、薄くなった線や途切れた線も間違いの原因になるので、できるだけ引き直しましょう。
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