ケモミミ消しゴムはんこ講座

消しはん屋看板娘のミヤマとカレンの作り方講座です。動画版もよろしくお願いします。

消しゴムはんこの作り方_実践編_第7回_静謐のハサン(Fate/GrandOrder)

[今回のテーマ]静謐のハサン(Fate/GrandOrder)

 

今回原画として使用するのは、ブログキャラクター兼消しはん動画看板娘のカレン&ミヤマをデザインして頂いた『桐缶』さんのpixiv投稿作品『静謐のハサン(Fate/GrandOrder)』です。

【FGO】「静謐のハサン」イラスト/桐缶 [pixiv]

 

Fate/GrandOrder(通称FGO)にてアサシンのクラスで登場するハサンの武器は、彼女自身の体。全身毒の体質を持つ彼女の血液はもちろん、気化した汗すら猛毒なのです。

 

彼女自身で制御できないため、味方すら巻き込む危険な体質です。参戦元となる小説版『Fate/Prototype蒼銀のフラグメンツ』では、その体質であるがゆえに起きる悲劇や全身毒特有の暗殺場面が描写されています。

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ブログ初の背景込みの作品

 

正確には 影誇張の手法になってから、初めての背景込みの作品です。過去に使用してた単純配色の手法では何度か経験しましたが、『最初にどこまで大まかな線をとらえるか?』が大事なのはどちらも共通です。

 

これまでブログに紹介してきた作品はキャラクターの外周を捉えるところから始めていました。今回は背景も含めて外周を捉えるところから始めます。

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実質ここまでが前準備、ここからが本格的な作業開始となります。

 

飛び出たアイツがジャマをする

 

外周を捉える工程の中で気になる箇所がありました。

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たぶんビルの屋上の街灯だとは思うのですが、ここだけが外枠に伸びているのでなんとなくジャマだなとは 感じていました。とりあえずいつも通りの順番で作業する場合は、もう少しあとで処理する箇所なのでここでは無視していました。

 

しかし、セオリー通りビルの正面の背景から彫っていたとき・・・

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窓よりも低い位置を彫っているときは気にならなかったのですが・・・ビル屋上近くだと、飛び出たアイツが面倒な位置に居るように思えてきました。

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で・・・結局、ここは先に彫ることにしました。

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順番からすれば後回しにしても良いのですが、別の個所の作業中に気になって集中できない場合は先に彫りましょう。

 

ハサンの足に追加した影

 

作業途中、ハサンの足首辺りに影を追加しました。

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足の印象にちょっとだけ『重さ』が欲しかったので、影を少量ですが追加しました。無くても許容内だったでしょう。この作品を彫った時点では、『ビル屋上の街灯の光(あるいは月明り)がある程度は足元にも届いているだろう』と考えていました。

 

『ビル正面には屋上の街灯の光があまり届かない』と想定して表現するのなら、足首から下は完全に影にしても良いでしょう。『月明りすら遮断される』と想定したなら、膝から下はほとんど影になったと思います。

 

このように影誇張の手法は、彫る側の『シチュエーションの捉え方』で表現が大きく変わるのが特徴です。

 

ハサンの膝まで→消しはん右側の背景→ハサンの顔まで

 

背景が含まれるので彫る順番も変わってます。キャラクターまたは背景の片方を集中して作業してしまうと、どちらかの転写した線が手の下にくる確率が高くなるので作業が難しくなります。

 

基本的にはキャラクターだけの作品と同じように、特定の方向性を持って彫ることが大事です。その流れを考えた場合・・・ビル正面からハサンの膝まで彫ったら、次は消しはん右側(ハサン左側の背景)の作業になります。

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消しはん右側の背景が終わったら、つぎはまたハサンの作業に戻ります。左手を処理したら、太腿の付け根から顔までの流れで彫っていきますが、ハサンの右手は顔の後に彫ることをオススメします。

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今までブログをご覧になった方々なら、ここで両手(両腕)まで彫ってから顔に移った流れを見てきたでしょう。ですが今回は、ハサンの右手が肩よりも高い位置にあります

 

このまま作業すると、右利きだと顔の線が手の下にくる状態で作業することになってしまいます。なので、今回はあえて右手をスルーしてから先に顔を彫ります。

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変則的な順番にも思えてきますが、『しくじり確率』を減らす順番としてこのようになりました。

 

 

もう何も怖くない(訳:慢心はダメ。絶対)

 

ハサンが彫り終わったなら、あとは消しはん左側(ハサン右側)の残りの背景だけです。デザインナイフをほぼ垂直に立てて彫るような細かい線はここにはありません。

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ただし、このような開けた箇所は(とくに疲弊した後半に行う作業では)、『しくじり多発地帯』となっています。一度休憩するか、落ち着いて最後の背景箇所を彫っていきましょう。

 

開けた背景の彫り残しに注意

 

 

今回の原画『静謐のハサン』においては、ハサンの中の彫り残しは目立ちにくいでしょう。ハガキサイズに全身が入っている珍しいパターンです。個人の仮想ですが、頭からつま先まで範囲に入るケースはサイズの関係上、難しくなります。

 

ビルの屋上に座っている構図だったので、全身が範囲内に収まったのだと思います。このように全身が入っている場合は、キャラクターの各パーツの面積が必然的に狭くなるので押印時の変形は気にならない程度になるでしょう。

 

よってハサンの中の彫り残しは、押印テストで目立った箇所以外は無視してよいと思います。

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今回はどちらかというと、背景に気をつけるべきです。ハサンに比べると彫り込んだ箇所の面積が広いので、押印時の力による変形の影響が気になります。背景のサラエが入りそうな箇所は、無理のない範囲で凹凸を均しておきましょう。

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久しぶりの背景込みの作品作りを終えて

 

影誇張の手法は従来の単純配色の手法よりも時間がかかります。このような理由があったので・・・できるだけ背景がない原画を選んだり、背景を転写絵に反映してきませんでした。

 

今回は都合よくまとまった時間が確保できたので、久しぶりに背景込みで作りました。はやり+1時間以上はかかります。

 

+αの分大変な作業になるのですが・・・作品作りとしてはこちらの方が面白くて、出来上がったときの達成感は別格でした。

 

現実問題として確保できる作業時間次第になりますが、今後も機会があれば影誇張の手法で背景込みの作品に挑戦したいです。

 

講義動画はこちら

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消しゴムはんこの作り方_実践編_第6回_アルパカ・スリ(けものフレンズ)

[今回のテーマ]アルパカ・スリ(けものフレンズ)

 

たつき監督の騒動の件で2期が心配されるけものフレンズですが、今回は無事に2期が完成してほしい思いもこめています。今回の作品として選択したフレンズは、第3話『こうざん』に登場した『アルパカ・スリ』(以下、アルパカ)です。

 

ちなみに私はpixiv百科を見るまでは、アルパカの訛り口調が声優のアドリブであること知りませんでした。

 

原画はpixivにて『さっこ』さんからお借りしました。

【けものフレンズ】「アルパカ・スリ」イラスト/さっこ [pixiv]

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湯気の境目をどこにするか

今回の作品の一番の悩みどころは、紅茶から出る湯気の境目をどこにするかです。原画を見てもらえればわかりますが、この湯気は紅茶表面では透明(白?)で、てっぺんに行くほど色がついていきます。

 

毎回消しゴムはんこ作りを悩ませる要素の1つ、グラデーションカラー部分と考えてもいいでしょう。とくにインクを1色しか使わない手法では、この境目をどこに持ってくるか考えないといけません。

 

ですが、『完璧な正解』ありません。現実的に再現が困難な場所への対策は彫り手によって違います。作りの手の数だけ表現があるのも消しゴムはんこなのです。

 

今回はアルパカの手元をあえて曖昧する方法を採用しました。

 

縦方向の描画範囲に注目

 

お借りしたアルパカの原画は、比較的縦方向の描画範囲の短い作品になってます。ほぼ正方形に近い形としてみてもいいでしょう。

 

通常縦方向は転写絵の線に手が触れやすいので、下から上に彫りむことで安全圏を確保していきますが・・・今回は消しゴムの外側からあらゆる向きにデザインナイフを伸ばし易い形状になっています。

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ただし、基本編で説明した得意方向の問題もあるので、必ずしも安全圏の位置取りができるわけではありません。場合によっては消しゴムの上に手がくるので、線に触れないように注意しなければなりません。

 

彫り進むときの位置取りが、いつもより難しくない程度に考えておきましょう。

 

難しい箇所の作業は先行するのも有り

ある程度の基本的な彫り作業の流れは決めているのですが、これは必ず守るものではありません。時間がたつと判断に自信がなくなる箇所、作業上の流れから少し離れているけど・・・そこに難しい箇所がある場合は先行する判断も有りです。

 

安全圏確保が出来ていないので、油断すると転写絵の線に手が触れることだけ意識してください。

 

アルパカの作業でも『カップと持つ手元』と『髪のモフモフした箇所(肩付近)』は、通常の作業の流れを無視して先行しています。

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 手元のカップは『消えてしまった線、または薄い線』と後から勘違いしないように先行しました。その日のうちに作業できればいいのですが、時間の都合上後日になった場合・・・自分で描いた線の意味を忘れることがたまにあります。

 

記憶違いでミスをしない為に先行しました。

 

では肩付近のモフモフをなぜ先行したのか?単に面倒な箇所だったからです。そこそこ面積が有りそうで簡単に見えます。しかし、中の模様が邪魔をして小刻みな彫り方しかできないので時間がかかるのです。

 

通常なら髪は最後にすることが多いです。けれども今回は、最後に面倒な箇所をまとめたくなかったので先行することにしました。

 

見た目は簡単そうでも後から落ち着いて見た場合、または実際に作業した場合に意外と時間がかかることが判明するというのは、消しゴムはんこではよくあることです。

 

口元の両端は僅かに膨らんでいる

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転写絵を作りこんで、転写が上手くできている場合はそこまで問題ではありません。ですがこの工程がミスしている場合、記憶だけを頼りに再現しては間違えることがあります。

 

作業前に原画で確認すれば気がつくかもしれませんが、見落としや記憶違いしたまま進む可能性も否定できません。注意が必要な箇所の転写絵はしっかり作っておきましょう。

 

耳のモフモフは横着禁止

アルパカの耳のモフモフした箇所は髪のモフモフした箇所と似ています。違うのはギザギザにとがっている点です。獣耳があるタイプのキャラクターによくあります。

 

今まで何度か出てきても解説していなかったので、この機会に解説します。このようなギザギザした外形は線を繋げて彫ってはいけません。特とくに後半に作業する場合は焦りや油断で横着したくなるでしょう。

 

でもここで繋げて彫ってしまうと、このタイプの線は押印面の面積が欠けることがあります。三角形の形を切り取るように少しずつ彫りましょう。

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髪の影が足りない?

 

髪の影が気になり、作業中に追加している箇所があります。

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 追加と言っても・・・気にしなくてもいいレベルものだったかもしれません。

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明らかに間違いである場合は彫る前に修正したほうがいいでしょうけど、今回ほど細かい修正になると個人の拘りの問題でしょう。

 

作業中の修正行為そのものは珍しいことではないので、間違い以外にも違和感を感じた箇所は修正しておくと自分らしい作品になるのではないでしょうか?

 

サラエを使うのは残った余白だけ

 

アルパカ本体をとりあえず彫り終えたら、周囲の余白を切り離します。いつもの流れならキャラクター周囲に残った余白とキャラクターの中の面積が広い部分にサラエを入れて、凹凸を均します。

 

今回のアルパカはキャラクター内の線の感覚が押印時に変形しにくいように配置されているので残った余白を均すだけで十分でしょう。無理にサラエを入れて押印面を壊したくないという理由もあります。

 

あとは押印テストのときに写ってしまった不要突起だけを除去すればいいでしょう。

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今回の注意点まとめ

 

最大の難所は予想通り、湯気のグラデーションの境目でした。手元をぼかすことで境目を表現しましたが、思い切って中央より上で境目を表現した方が良かったかもしれませんね。

 

長く境目を引っ張るよりも、短すぎるくらいに切った方が消しゴムはんことしてはわかり易いように思いました。

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それと今回は転写絵の重要性を改めて感じた回でした。アルパカの口元のような線は記憶頼みにしないで、転写した線で分かるようにしておきたいですね。

講義動画はこちら

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消しゴムはんこの作り方_基本編_第3回『彫り方から梱包まで』

いよいよ彫っていこう!!

作業台をセッティングしよう

 

今までの講座でも類似した場面がありましたが、最初にすることは『環境の準備』です。ライトスタンド2台とA3の厚紙を作業台に準備しましょう。ライトスタンドの明かりは奥側両サイドから消しゴムに当たるように調整します。

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ライトスタンドがA3の厚紙を踏まないように注意してください。画像よりもっと手前に置いてもいいでしょう。影が完全に消えるわけではないのですが、作業中に微調整する必要がほとんどなくなります。

 

光の角度を調整しながら作業するならライトスタンドは1台でも十分ですが、2台の方が影の量が少なくなるので、画像や動画を撮りたい人は2台がオススメです。

 

このセッティングがもう一つ利点があります。

 

作業中にある程度消彫り屑が溜まったら、消しゴムを厚紙の上からどけて・・・厚紙ごと彫り屑を持ち上げて、そのまま彫り屑を捨てることができます。溜まった彫り屑が作業の邪魔になることもあるので、こまめに捨てましょう。

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彫り方の基本は押印面の断面が台形になるように

 

参考用に準備した消しゴムを矢印の方向から見てみましょう。記号の中は断面がわかり易いようにデザインナイフのみでカットしてます。

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すると中の線はデザインナイフでV型にカットされていることがわかります。これが基本的な線の彫り方です。

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しかし、消しゴムに使用される線は間の距離が一定ではありません。凸面から凸面までの距離がある場合は当然、V型には切りません。凸面の間は均してありますが、両サイドの凸面の壁は外側に向かって傾きます。

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 つまり、押印面の断面は台形になることが分かります。

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台形に切る理由は押印面に強度を持たせるためです。この形が垂直や逆台形だと弱い押印面になってしまうのです。細い線や密集した線を彫るときにはかなり急な傾きになりますが、それでも台形に作るのが基本です。

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細い線が難しく感じてくるかもしれませんが、人の手はデザインナイフを垂直に立てたつもりでも僅かに利き手側に傾くクセがあります。このクセを利用して細い線や密集した線は彫っていくことになるのです。

 

無理のない方向に彫ることを意識しよう

 

基本的なカットの仕方を動画やブログで覚えても、線が歪む・切れる・ガタつく・・・曲線が上手く彫れないなどの悩みを持つ初心者は多いと思います。

 

これに関しては押印面の断面形状だけを教えただけで、基本的な彫り方を教えたつもりになっているサイトや動画が多いのも原因です。

 

『とりあえず彫れるようになる』だけならそれでもいいのですが、クオリティを上げたいなら原因と解決策も必要です。個人差はあっても、原因と対策が分かると分からないでは大きな開きがでます。

 

ここでは個人的な見解ではありますが、『共通の原因』について説明します。それは、人間の動きとして無理のある方向から作業しているからです。

 

※この先は個人差があることも理解したうえで、お進みください。

 

ほとんどの人は縦方向に彫ることは得意でも、横方向は苦手という方が多いと思います。さらにデザインナイフは利き手側に傾きやすいことも意識しなければなりません。

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苦手な方向の線がガタついたりするのは当然です。よって間接的に無理のない方向に彫るためには、消しゴムの向きを変えながら作業することになります。

 

現実問題、まっすぐな線は多くはありませんが・・・できるだけ直線に近い線を得意方向に向けながら作業してください。

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 彫刻刀に関しては、ここまで神経質になる必要はありません。先に彫ったデザインナイフの跡が停止線や安全圏の役割をしてくれるので、ある程度は自由な方向に彫ることができます。

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 ただし、仕上げのサラエに関してはデザインナイフと同じで得意方向に使用します。無理な仕上げをして完成間近の作品を壊さないようにしてください。

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 また、得意方向も道具によって『押し』と『引き』のどちらが得意か別れます。

 

私の場合はデザインナイフは『押し』。サラエは『引き』になります。道具による得意方向の違いにも注目しましょう。

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 しかし、これではまだ曲線についてのコツが説明できていません。基本的には直線と同じなのですが、デザインナイフではなく消しゴム側を動して彫ります。カレンの消しゴムはんこを例に説明しましょう。

 

今から直線→曲線→直線で構成された部分を彫ろうとしています。

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直線を彫り進み、曲線の前でデザインナイフを止めてください。このとき、デザインナイフを抜いてはいけません。滅多に起きることではないのですが、刺し直しをすると切断面が段差になってしまうことがあるのです。

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ここではデザインナイフを固定したまま、消しゴムをゆっくりと回して曲線を彫ってください。

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曲線部分の終わりまできたらまた動作をストップ。今度はまた直線になるので、得意方向にデザインナイフを動かして彫ります。

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キャラクターのイラストを消しゴムはんこにする場合、ほぼ確実にこの動作が必要になります。原画に選んだキャラクターのデザイン(特にスタイルの良い女性キャラクター)によっては多用することになります。 

 

消しゴムを回りながら曲線を切るのが苦手な場合、少しずつ回転させて細かい直線を刻むように進む方法もあります。ガタつきが少し残るかもしれませんが、慣れないうちはこのような方法でもいいでしょう。

 

彫る順番も考えよう

 

小さなマスコットやシンプルなデザインのキャラクターの場合は、順番を意識しなくてもできてしまいますが・・・サイズの大きなイラストの場合は、消しゴムに転写した線に手が触れることがあります。

 

手が触れた線は分かりにくくなったり、最悪やり直しにもなるので転写の線を消さないように作業する必要がでてきます。

 

手が触れる心配が少ない作品を取り扱う動画やサイトでは、このことについて説明していないことがありますが・・・最終目的をキャラクターイラストとしている人にとっては、伸び悩む要因になります。

 

作り手によって異なるとは思いますが、ここでは私の彫っている順番で説明します。

基本的に下側から彫っていきます。

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画像でマーキングしたエリア内でも優先順位があり、右から左に向けて作業していきます。これは右利きにとって、消しゴムを正位置に置いた場合と反時計回りに回転させた場合の安全圏を考えた順番です。

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 一定のエリアを右から左へと彫る作業を上の方向に向けて繰り返します。

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 もちろん、無理なく彫れる方向も考えて作業することになります。消しゴムが正位置にあれば、どんどん右下から上に向けて安全圏が広がります。

 

反時計周りに回すと、右側から左に向けて安全圏が広がる順番なのです。

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消しゴムの作業が終わったエリア以外にも、作業台の上は安全圏になるので無理なく得意方向に届きそうな位置から作業することになります。最初は手の位置取りが難しい線もありますが、作業が進むにつれて安全圏は広がっていきます。

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私の場合は『髪は後回しにして最後に彫る』『最初にキャラクターの外周をある程度彫って背景との境界線をはっきりさせる』の例外がありますが、基本的にはこの流れで彫ってきます。

 

ちなみに例外パターンを真似する場合は線の上に手がくることになるので、触れて消さないように注意してください。 

 

必ずしもこの方法が正解とは限らないので、独自の順番・法則をみつけてみるのもいいでしょう。

 

彫った場所を仕上げよう

 

彫っただけの面は荒いので、消しゴム表面より下がっているように見えても押印時に写ってしまうことがあります。目立ちやすい場所はキャラクターの衣装・体型・構図によっても変わります。

 

ミヤマとカレンの消しゴムはんこを例にあげると、マーキングした場所に彫り残しによる不要な押印が発生し易くなります。

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特に面積の広い面に注意が必要になります。これは押印したときにかかる力で歪んだ面が押印する対象に接触するからです。

 

彫り終えた場所の仕上げをする前に、不要な余白はカットしましょう。あえて残すこともありますが、私は仕上げ面積を減らすためにカットすることが多いです。

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あとはサラエを使って、余白と彫りこ残しが出やすい場所を均します。サラエがない場合は平刀で代用してください。無理に狭い場所まで仕上げようとすると、仕上げ前の破損の悲劇が起きるかもしれません。

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サラエは売っていないホームセンターもあるので、ネット購入になるでしょう・・・そのうち欲しくなるかもしれませんね。クセのある動きですが、慣れればサラエのほうが楽になってきます。

 

あとは押印テストをして気になった彫りこ残しを確認・修正する作業を繰り返して、不要な押印が発生なれば完成です。記念の一枚を押印しておきましょう。

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 押印前にやっておくこと

 

順番が前後しましたが、押印前にやっておくことがあります。それは消しゴムから手油を拭くことと、彫り屑を取り除くことです。

 

作業中に着いた手油をそのままにしておくとインクのつきが悪いので、キッチンペーパー等で拭き取っておきましょう。

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彫り屑の除去については他のサイトや動画で練り消しを使った方法を知っている人が多いでしょう。定番の方法ですが、ハガキサイズの前面に練る消しを当てるのは面倒です。

 

練る消しは長期間使用しないと乾いてボロボロになることもあるので、使用頻度の低い人には向きません。ここでは、練る消しを使わないちょっと大胆な方法を紹介します。

 

キッチンペーパーの上に押印面を下にして置いたら、軽く叩いて大まかに屑を落としてください。

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この後は適当な紙に2、3回ほど捨て押印してください。彫り残しの押印テストと一緒にしてもいいでしょう。このように捨て押印で彫り屑をとる方法もあります。

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動画の捕捉をしますが、捨て押印と押印テストはインクを綺麗につける必要はありません。多少ムラがあっても確認できるインク量なら問題ないです。

 

インクの塗り方

 

本場押印の場合は、ムラなくインクを塗りましょう。本当は大判サイズで全面に対して一度につけるのがいいのですが、色によっては大判サイズがないでしょう。また、出回っている数も多くはないです。

 

なので通常はスタンプ台(インク)の方を持って、消しゴムはんこ表面全体に軽く叩くように塗っていきます。この方法で覚えておけば、大判サイズにこだわらずに好みの色をつけることが出来ます。

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インクの塗り忘れやムラがないか、光に当てて確認しましょう。

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ハガキサイズの押印のコツ

 

ハガキサイズにもなると押印時の圧力が不安定で、押印にムラが出やすくなります。彫り方によっては彫りこ残し部分(着色箇所)に気泡が入り、泡立ったような跡になることもあるのです。

 

確実な方法は変形しない程度の厚みの板を消しゴムはんこの裏に貼りつける方法ですが、コスト面の問題があります。(押し方によっては気泡も残ります。)

 

辞書などを載せてじっくりと力をかけていく方法もありますが、今回は私が使っているエア抜き押印を紹介しましょう。まずは曲がらない程度の厚みの板を用意してください。幅はハガキサイズの横幅より小さめを選んでください。

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ハガキ(押印したい対象)にインクを塗った消しゴムはんこを置いたら、用意した板で消しゴムの左側→右側→上側→下側と、消しゴムはんこが変形しない程度の力で押します。これを5回程繰り返してください。

 

※板が極端に消しゴムはんこから飛び出さないように。カット後のサイズによっては、ズラさなくても押せることがあります。

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板と消しゴムはんこをどけると、ムラと気泡跡のない絵が押印されます。この方法でもムラと気泡が気になる場合は、土台が柔いか平面ではない可能性があります。硬く安定した床や木の板の上を土台にするのがオススメです。

 

面倒な方法と思う人もいるでしょうが、板が使い回せるコスト面の優秀さはあります。

 

押印後の消しゴムはんこのインクは、キッチンペーパーで軽くふき取って乾かす程度でいいでしょう。スタンプクリーナーをオススメしているサイトと動画もありますが、微量なダメージがあるので個人的にはオススメしません。

 

よほど綺麗にインクを落としたい場合以外は、ふき取って乾かせば十分だと思います。

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 大切な完成品を保管しよう。

 

出来上がった消しゴムはんこは大切にしまいましょう。たいしたことをするわけではないのですが、習字用紙とセロテープを用意してください。

 

習字用紙に消しゴムはんこを包んで、セロテープでとめるだけです。

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 このときに印刷した原画を切り取って一緒に入れておくと、管理が楽に。

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梱包した消しゴムはんこの保管場所を探しましょう。消しゴムはんこの弱点は文房具の消しゴムを同じと考えていいですが、紫外線のあたるところ・・・直射日光のあたるところは確実に避けて保管してください。

 

出来れば高温にならない場所が理想ですね。私はクローゼットの中にスペースを作って保管しています。

 

本来は『収納する』などとという言い方が正しいのでしょうが、絵師の方々よりイラスト借りて作ったという言う意味で、ここではあえて『保管』と表記します。

 

今回の講義を終えて

 

他のサイトを見て説明不足の多かった点や、個人的な見解内容を多く追加した内容になりました。シンプルな内容でざっくりした記事でも良かったのかもしれませんが、『とりあえず作れる』以上の内容にしたかったのです。

 

得意方向の問題は、ほとんどの人が行き詰ったときの共通の問題なので、私なりに考えた対策を記載しました。もちろんこれが絶対的な答えではないでしょうが、まずはこれを参考にしてみてはどうでしょうか?

 

消しゴムはんこにも種類があるように、作り方も行きつく先は人それぞれです。いずれは自分にあった別の方法に切り替える日がくるかもしれません。それまでは私の記事・動画を基礎習得及び上達するためのツールとして利用して頂きたいです。

 

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消しゴムはんこの作り方_実践編_第5回_玉藻の前(FGO)

[今回のテーマ]玉藻の前(FGO)

 

 Fate/Grand Order』通称『FGO』の『玉藻の前(キャス狐)』が今回のテーマです。人によっては『Fate/EXTRA-CCC』(または同系統シリーズ)で登場したときのイメージの方が強いかもしれません。

 

キャラクターの中心軸が消しゴムのほぼ対角線上にあるので、体の広範囲が消しゴムの中に入るパターンになっています。

 

原画はpixivにてとんちんかんさんからお借りしました。

【玉藻の前】「聖晶石でみこーん」イラスト/とんちんかん [pixiv]

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反時計周りに横向けにした場合を考えよう

今回の構図同様、中心より下側に作業場所が集中しています。前回よりも幅いっぱいに絵が描かれているので安全圏確保の難易度はこちらが高いと思います。

 

右下と下側を優先して彫りこむながれは変わらないのですが、今回は右下から初めて腰から下までの範囲を先に彫ってしまいましょう。

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下側のエリアを先に仕上げて、反時計周りの横向きのときに右手に安全圏が来るようにします。これ以外の向きのときは消しゴムから外れた作業台に手をつける状態が多いので、そこが安全圏です。

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安全圏には『彫り終わった場所』と『消しゴムの範囲から外れた場所』があることを改めて意識しましょう。

 

違和感があったら自分を信じて確認しよう

 

彫り作業を進めていて違和感を感じた場合、ほぼそこには何か間違いがあると思っていいでしょう。原画を常に見ていなくても、記憶の中にある原画との相違点を感じているのす。

 

今回場合は胸の影を引き忘れていることに気づいて制作中に修正しています。例えとしては個人の趣味と思われるケースですが、消しゴムはんこは彫ってしまうと修正ができないので違和感は無視しない方がいいですね。

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作業が長時間に及ぶ場合は休憩をとろう

 

今回の作業は描画範囲が広いので、顔に到達するだけでも時間がかかりました。調子がいい時は4時間前後でも連続で彫れなくはないのですが、基本的に作業ミスの取り返しができないことを考えると適度な休憩も重要です。

 

このときには顔を彫る前に休憩をとっています。作業ミスの防止の他、ケガの予防にもなるので休憩は大事ですね。

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キャラクターの中の彫り残しに注意

キャラクターの描画範囲が広いので、周辺の余白カットと周囲の仕上げ場所は少ないでしょう。しかし、その分キャラクターの中に彫り残しが目立つ場所があります。

 

とくに下半身のパーツの面積が広く取られているので押印時の変形の影響を受けやすく、比較的表面より凹んだ凸面でも余計な押印カ所になることがあるので注意が必要です。

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今回の注意点まとめ

 

比較的大きくキャラクターが消しゴムの中に入るパターンなので難易度がそれなりにありますが、彫る順番を落ち着いて考えることで警戒範囲を狭めていきましょう。

 

しかし、集中しすぎると消しゴムの中にある安全圏ばかりに気を取られます。消しゴムから外れた作業台も安全圏なので、ここも忘れずに利用してください。難しく思える原画でも一定以上彫り進めれば、終盤の難易度が大きく変わることは殆どありません。

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消しゴムはんこの作り方_基本編_第2回『転写絵と転写』

転写用の絵を描いて、消しゴムへ転写しよう!!

実は彫る技術より重要

 

消しゴムはんこの作り方ときいて、彫る技術が重要だと思う人は多いでしょう。しかし、実際にクオリティのほとんどが確定するのは、消しゴムはんこに絵を転写するまでの段階なのです。

 

彫り方が上達しても、消しゴムに転写された絵が残念な仕上がりなら良いものはできません。完成した下絵(転写絵)=クオリティと思ってください。

 

特に上達を目標をしている人は、今回の講義内容を重点的に練習しましょう。

 

まずは原画を印刷しよう

 

ケモミミ消しゴムはんこ講座にて想定する作品の大きさは、通常ハガキサイズを想定しています。(参考として破片やハガキハーフサイズを使うこともあります。)

 

そこでハガキサイズの消しゴムはんこに使うこと考えて、原画を印刷する必要があります。使用したい原画を下の画像のようにペイントソフトなどで配置します。

 

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これをA4用紙横に印刷すると、ハガキサイズより小さめのイラストが出てきます。

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プリンターや複合機にはハガキサイズ専用の印刷機能もありますが、その機能は使わないでください。ピッタリのサイズに印刷してしまうと、消しゴムの外周ギリギリは転写が難しいので失敗の原因なります。

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サイズの小さなキャラクターイラストで作りたいひとはハガキハーフサイズで作ってもいいでしょう。その場合は下の画像の通り、今度はA4の縦に印刷してください。

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ただし、画像(動画)でカレンが言っているように細かいイラストには向きません。

 

画像を3枚並べているのには別の理由もあるのですが、それは後で説明します。

トレーシングペーパーに転写絵を描こう

 

トレース台にセットして、キャラクターのイラストを描いていきます。実際には『現実的に彫れる線への変更』なども考えるのですが、そちらについては『実戦編』でパターンごとに説明する予定です。

 

今回はとにかくしっかり線をみて正確に書き写すことを覚えてください。また、今回の講義では影誇張の手法ではなく、シンプルに主線を描き写す手法及び簡易的な色つけ(彫り残し)の手法を使用しています。

 

トレース台が無い人は、ライトスタンドの明かりでも作業可能です。光源の向きによって見えやすい線が異なるので、併用するのもオススメです。

 

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トレーシングペーパーはセロテープで2点だけ固定する

トレーシングペーパーはセロテープ(セロハンテープ)で上側の2カ所だけ固定してください。

 

本ブログで紹介しているサイズの作品だと、多くの線を描きこんでいる間にトレーシングペーパーがヘタって変形するので、下側まで止めてもあまりズレ防止の役には立ちません。

 

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転写絵を描きこんでいくと、トレーシングペーパーが下側の左右から反ってきます。

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これはある程度サイズの大きいイラストだと仕方がないことなので、2カ所のセロテープを貼った場所を基準として、トレーシングペーパーを下側に伸ばしながら描いてください。

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絵を描く順番は、伸ばす作業を邪魔しないように基本的には上側から描いていくことになります。

 

色を付けたい場所(彫りこ残しの場所)を考えよう

 

主線をトレーシングペーパーに描き写したら、色を付けたい場所(=彫り残しの場所)を考えましょう。

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実際に彫リ進めていくうちに全体像のバランスをみながら変更することもあるので、私は彫りながら考えていました。不安な場合な色を付ける場所(=彫り残し場所)を塗りつぶすか、印をつけてもいいですよ。

 

稀に配色が複雑な作品では、簡易的な印をつけることもありました。

 

コツは少なめにバランスよくです。

 

この時点では考えなくていいのですが、いずれ講義予定の影誇張の手法では転写絵にある程度描きこんでおきます。

 

目(瞳)は難しい

 

このブログでは『消しゴムはんこ専用のイラスト』ではなく、『既存のフルカラーのイラスト』から作ることを想定しています。そのため、専用イラストを使用しない消しゴムはんこならではの難所があるのです。

 

それがキャラクターの目、とくに瞳の部分です。デジタルアートでは、グラデーションカラー等も用いられるのでけっこう厄介なパーツです。

 

慣れてくれば動画(画像)のミヤマが解説しているような描き方(彫り方)もできますが、慣れないうちは外枠のみをとらえたシンプルな表現を使用するのもいいでしょう。

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見えない線への最終手段

光源の向きによる相性もありますが、単純にトレーシングペーパー越しでは見えない線もあります。ここで3枚並べた絵が役に立ちます。

 

慣れないうちは難しいかもしれませんが、直接左右の絵を見て描いてください。これはどうやっても見えない線への最終手段です。塗りつぶしの色と主線の相性によっては、この方法でしか確認できない原画もあります。

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この方法ができるようになれば、ライトスタンドしかない環境でも(あるいはトレース台しかない環境でも)転写が可能になります。

 

消しゴムに転写する前にもうひと手間

 

 いよいよ転写・・・といきたいところですが、もうひと手間必要です。パッケージから取り出したばかりの専用消しゴムには、表面に保護用の粉がついています。ここまま転写しては、転写が上手くいきません。

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なので、転写前にこの粉をふき取る必要があります。柔らかいキッチンペーパーか、ティッシュでふき取ってあげましょう。

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 今度こそ消しゴムに転写しよう

 

転写は爪を使って、擦りつけていきます。このとき、2本または3番以上の指でトレーシングペーパーズレないように抑えてください。爪と指に力を入れ過ぎると消しゴムとトレーシングペーパーが変形してズレるので、程よく力を込めてください。

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 擦る方向も重要です。消しゴムの面をいくつかのエリアに分けて、エリア単位で一方通行に擦りましょう。擦るたびにその場所はヘタってくるので、前のエリアには戻らないようにしてください。ズレの原因になります。

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押さえている指の動きにも注意してください。必ず2本以上の指がトレーシングペーパーを抑えている状態をキープして、次のエリアを作業しやすい位置に指を移動させてください。

 

当然ですが、指が離れて固定が甘くなれば転写がズレます。

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服の袖の接触が原因でズレることもあるので、そちらも注意しましょう。

 

サイト(消しゴムはんこ作家)によっては、セロテープによる固定及び定規などで擦りつけることを推奨している人もいますが・・・このブログでは推奨していません。

 

キャラクター1人の描きこみ量をハガキサイズの面積に転写するとなると、どうしてもトレーシングペーパーの劣化は避けられないのです。この場合、セロテープによる固定は逆に邪魔になるのです。

 

道具での擦りつけを推奨しない理由は、はやり人間の手の感覚で転写を確認するのが確実だからです。自分の手(爪)で転写できるように練習しましょう。

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 転写が終わったあとも原画とトレーシングペーパーは捨てないで

 

転写が終わっても原画と転写絵のトレーシングペーパーは、消しゴムはんこを彫り終わるまでとっておきましょう。消しゴムはんこを彫るときに、パーツごとに間違い(勘違い)がないかをこれらで確認しながら彫っていきます。

 

原画と消しゴムはんこの絵は対称になっていることに注意しましょう。

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線が途切れている程度の描き洩らしや薄くなって見えにくい程度なら直接描きたしてもいいのですが、面倒な間違いを見つけた場合は直接トレーシングペーパーに描きこみましょう。

 

これを間違った周辺の絵に合わせて、部分的に転写するのです。一度使用したトレーシングペーパーは歪みが出ているので、全体で合わせようとするとズレることがあります。

 

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 上達したいならこの工程が重要

シンプルなマスコットや記号などの消しゴムはんことは違い、フルカラーの原画からハガキサイズの面積の消しゴムにキャラクター1人を作る場合の独自の難しさを感じた人もいるでしょう。

 

キャラクターを表現するには転写絵をしっかりと描いて、正確に転写することがクオリティ向上につながります。彫る練習だけでは上達しません。伸び悩んでいるかたは、ここを練習しましょう。

 

このブログの基本講座から始めた初心者はいきなり彫り方の練習に進むのではなく、今回の講義内容を復習してください。

 

 

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消しゴムはんこの作り方_実践編_第4回_ユニコーン(アズールレーン)

[今回のテーマ]ユニコーン(アズールレーン)

 

今回もアズールレーンのキャラクターになります。小柄なキャラクターですが、座っているポーズでほぼ全身入っているので意外に制作範囲が広いです。

 

衣装には小さなリボン飾りが複数あるので、ここの仕上げにも気を付けたいですね。

 

原画はpixivにてアサさんからお借りしました。

【アズールレーン】「ユニコーン!」イラスト/アサ [pixiv]

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落ち着いて安全圏確保を

今回の構図では中心より下側に作業場所が集中しています。時間がかかりますが、利き手(右手)の安全圏を考えると先に彫っておきたいですね。

 

ただし、髪の毛は最後に彫りますので、ここでは前半の安全圏確保では無視してください。

 

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腕(肘から先くらい)・太もも・脚・お尻?とスカートの下側の辺りをここでは彫っておきましょう。

ゆーちゃんの目を切り落とさないように注意

 

下側の安全圏がある程度確保できたら、次はユニコーンが抱えているぬいぐるみのゆーちゃんを彫る流れになります。目が小さいので切り落とさないように注意してください。

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動画でカレンの言っている通り、一発で形状を切り取ろうとせずに、余裕持って広めにとった後で整えましょう。

 

今回の注意点まとめ

今回は前半の作業量が多いので、彫り始めが大変だと思われます。しかし、安全圏確保を怠ると、下書きを消したり、下書きを避けるために無理な姿勢で彫ることになるため失敗に繋がります。

 

また今回は、下側の作業であえて髪の作業を残しましたが、ここを残すことで最後はほぼ直線的な彫り作業になります。

 

『彫る順番を考えることも消しゴムはんこの作りの醍醐味』であることが分かる例だったと思います。

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消しゴムはんこの作り方_実践編_第3回_山城(アズールレーン)

[今回のテーマ]山城(アズールレーン)

 

今回はここ数カ月pixivの検索ランキングで上位に表示され続けている話題の擬人化戦艦ゲーム『アズールレーン』のキャラクターから山城の消しゴムはんこを作っています。

 

今回は、彼女が手に持っているおみくじの文字も作る範囲に含まれています。

 

原画はpixivにて榊葉ミソギさんからお借りしました。

【アズールレーン】「新春やましろおみくじ」イラスト/榊葉ミソギ [pixiv]

 

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前髪を消しゴムはんこ仕様に変更

 

原画のリンクを確認した人はお気づきでしょう。今回の原画は前髪を透過して目元が見えるようになっていますが、消しゴムはんこでこれを表現するのは難しいです。

 

なので髪の毛の目元と重なっている部分はカットして、表情を優先して表現しています。

 

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実は文字の方が難しい

 

キャラクターの消しゴムはんこを作る例としては珍しいパターンになるですが、今回は文字も彫る対象に含まれます。

 

文字は極めて短い感覚で線が曲がったり止まったりしているために、キャラクターよりも難しいと思います。

 

作業スピードが落ちるのでストレスを感じるかもしれませんが、追い付いて刃先で浅く慎重に仕上げましょう。文字の場合はできるだけ小刻みに彫り進めることをオススメします。

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今回の注意点まとめ

 

 

原画通りにに前髪と目元を表現すことは難しいと判断して変更を加えましたが、このように現実的に彫れる線に変更する判断も消しゴムはんこ作りには必要です。物理的に無理な場合や、実力に応じて変更することもあります。

 

文字についてはキャラクター以上に細かい作業になることが多いので、少しずつ慎重に彫るしかありません。時間を取られる作業なので、目の疲れを感じたら一度休憩してぁら再開しましょう。 

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