消しゴムはんこの作り方_基本編_第2回『転写絵と転写』
転写用の絵を描いて、消しゴムへ転写しよう!!
実は彫る技術より重要
消しゴムはんこの作り方ときいて、彫る技術が重要だと思う人は多いでしょう。しかし、実際にクオリティのほとんどが確定するのは、消しゴムはんこに絵を転写するまでの段階なのです。
彫り方が上達しても、消しゴムに転写された絵が残念な仕上がりなら良いものはできません。完成した下絵(転写絵)=クオリティと思ってください。
特に上達を目標をしている人は、今回の講義内容を重点的に練習しましょう。
まずは原画を印刷しよう
ケモミミ消しゴムはんこ講座にて想定する作品の大きさは、通常ハガキサイズを想定しています。(参考として破片やハガキハーフサイズを使うこともあります。)
そこでハガキサイズの消しゴムはんこに使うこと考えて、原画を印刷する必要があります。使用したい原画を下の画像のようにペイントソフトなどで配置します。
これをA4用紙横に印刷すると、ハガキサイズより小さめのイラストが出てきます。
プリンターや複合機にはハガキサイズ専用の印刷機能もありますが、その機能は使わないでください。ピッタリのサイズに印刷してしまうと、消しゴムの外周ギリギリは転写が難しいので失敗の原因なります。
サイズの小さなキャラクターイラストで作りたいひとはハガキハーフサイズで作ってもいいでしょう。その場合は下の画像の通り、今度はA4の縦に印刷してください。
ただし、画像(動画)でカレンが言っているように細かいイラストには向きません。
画像を3枚並べているのには別の理由もあるのですが、それは後で説明します。
トレーシングペーパーに転写絵を描こう
トレース台にセットして、キャラクターのイラストを描いていきます。実際には『現実的に彫れる線への変更』なども考えるのですが、そちらについては『実戦編』でパターンごとに説明する予定です。
今回はとにかくしっかり線をみて正確に書き写すことを覚えてください。また、今回の講義では影誇張の手法ではなく、シンプルに主線を描き写す手法及び簡易的な色つけ(彫り残し)の手法を使用しています。
トレース台が無い人は、ライトスタンドの明かりでも作業可能です。光源の向きによって見えやすい線が異なるので、併用するのもオススメです。
トレーシングペーパーはセロテープで2点だけ固定する
トレーシングペーパーはセロテープ(セロハンテープ)で上側の2カ所だけ固定してください。
本ブログで紹介しているサイズの作品だと、多くの線を描きこんでいる間にトレーシングペーパーがヘタって変形するので、下側まで止めてもあまりズレ防止の役には立ちません。
転写絵を描きこんでいくと、トレーシングペーパーが下側の左右から反ってきます。
これはある程度サイズの大きいイラストだと仕方がないことなので、2カ所のセロテープを貼った場所を基準として、トレーシングペーパーを下側に伸ばしながら描いてください。
絵を描く順番は、伸ばす作業を邪魔しないように基本的には上側から描いていくことになります。
色を付けたい場所(彫りこ残しの場所)を考えよう
主線をトレーシングペーパーに描き写したら、色を付けたい場所(=彫り残しの場所)を考えましょう。
実際に彫リ進めていくうちに全体像のバランスをみながら変更することもあるので、私は彫りながら考えていました。不安な場合な色を付ける場所(=彫り残し場所)を塗りつぶすか、印をつけてもいいですよ。
稀に配色が複雑な作品では、簡易的な印をつけることもありました。
コツは少なめにバランスよくです。
この時点では考えなくていいのですが、いずれ講義予定の影誇張の手法では転写絵にある程度描きこんでおきます。
目(瞳)は難しい
このブログでは『消しゴムはんこ専用のイラスト』ではなく、『既存のフルカラーのイラスト』から作ることを想定しています。そのため、専用イラストを使用しない消しゴムはんこならではの難所があるのです。
それがキャラクターの目、とくに瞳の部分です。デジタルアートでは、グラデーションカラー等も用いられるのでけっこう厄介なパーツです。
慣れてくれば動画(画像)のミヤマが解説しているような描き方(彫り方)もできますが、慣れないうちは外枠のみをとらえたシンプルな表現を使用するのもいいでしょう。
見えない線への最終手段
光源の向きによる相性もありますが、単純にトレーシングペーパー越しでは見えない線もあります。ここで3枚並べた絵が役に立ちます。
慣れないうちは難しいかもしれませんが、直接左右の絵を見て描いてください。これはどうやっても見えない線への最終手段です。塗りつぶしの色と主線の相性によっては、この方法でしか確認できない原画もあります。
この方法ができるようになれば、ライトスタンドしかない環境でも(あるいはトレース台しかない環境でも)転写が可能になります。
消しゴムに転写する前にもうひと手間
いよいよ転写・・・といきたいところですが、もうひと手間必要です。パッケージから取り出したばかりの専用消しゴムには、表面に保護用の粉がついています。ここまま転写しては、転写が上手くいきません。
なので、転写前にこの粉をふき取る必要があります。柔らかいキッチンペーパーか、ティッシュでふき取ってあげましょう。
今度こそ消しゴムに転写しよう
転写は爪を使って、擦りつけていきます。このとき、2本または3番以上の指でトレーシングペーパーズレないように抑えてください。爪と指に力を入れ過ぎると消しゴムとトレーシングペーパーが変形してズレるので、程よく力を込めてください。
擦る方向も重要です。消しゴムの面をいくつかのエリアに分けて、エリア単位で一方通行に擦りましょう。擦るたびにその場所はヘタってくるので、前のエリアには戻らないようにしてください。ズレの原因になります。
押さえている指の動きにも注意してください。必ず2本以上の指がトレーシングペーパーを抑えている状態をキープして、次のエリアを作業しやすい位置に指を移動させてください。
当然ですが、指が離れて固定が甘くなれば転写がズレます。
服の袖の接触が原因でズレることもあるので、そちらも注意しましょう。
サイト(消しゴムはんこ作家)によっては、セロテープによる固定及び定規などで擦りつけることを推奨している人もいますが・・・このブログでは推奨していません。
キャラクター1人の描きこみ量をハガキサイズの面積に転写するとなると、どうしてもトレーシングペーパーの劣化は避けられないのです。この場合、セロテープによる固定は逆に邪魔になるのです。
道具での擦りつけを推奨しない理由は、はやり人間の手の感覚で転写を確認するのが確実だからです。自分の手(爪)で転写できるように練習しましょう。
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転写が終わったあとも原画とトレーシングペーパーは捨てないで
転写が終わっても原画と転写絵のトレーシングペーパーは、消しゴムはんこを彫り終わるまでとっておきましょう。消しゴムはんこを彫るときに、パーツごとに間違い(勘違い)がないかをこれらで確認しながら彫っていきます。
原画と消しゴムはんこの絵は対称になっていることに注意しましょう。
線が途切れている程度の描き洩らしや薄くなって見えにくい程度なら直接描きたしてもいいのですが、面倒な間違いを見つけた場合は直接トレーシングペーパーに描きこみましょう。
これを間違った周辺の絵に合わせて、部分的に転写するのです。一度使用したトレーシングペーパーは歪みが出ているので、全体で合わせようとするとズレることがあります。
上達したいならこの工程が重要
シンプルなマスコットや記号などの消しゴムはんことは違い、フルカラーの原画からハガキサイズの面積の消しゴムにキャラクター1人を作る場合の独自の難しさを感じた人もいるでしょう。
キャラクターを表現するには転写絵をしっかりと描いて、正確に転写することがクオリティ向上につながります。彫る練習だけでは上達しません。伸び悩んでいるかたは、ここを練習しましょう。
このブログの基本講座から始めた初心者はいきなり彫り方の練習に進むのではなく、今回の講義内容を復習してください。
講義動画はこちら
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