消しゴムはんこの作り方_実践編_第13回_紅壱さんの茜ちゃん(実況動画支援作品)
[今回のテーマ]琴葉茜(VOICEROID)
今回の作品はニコニコ動画で紅壱さんが投稿されている『【VOICEROID実況】茜ちゃんは「PUBG」で遊ぶようです』へのファンアート、ニコニコ動画的な表現をするなら『支援作品』です。
[原画]
【ボイスロイド】「【VOICEROID実況】茜ちゃんは「PUBG」で遊ぶようです」イラスト/紅壱 [pixiv]
[支援先の動画]
『支援絵』と呼ばれるファンアートの習慣がニコニコ動画にはあります。ただ、私の場合は絵ではないので、『支援作品』の表記のほうがしっくりくるでしょう。
原画となるのは正確には、2話目にあたる『2日目』に使用されているサムネです。転写絵作成に使用したデータは、pixivに投稿されていたものをお借りしました。
茜ちゃんのボディペイントをどう表現するか
今回の原画には、消しゴムはんこ側にとっては特殊な表現が含まれています。ボディペイント部分を消しゴムはんこ内でどう表現するかが、悩みどころでした。
素直に表現することも考えましたが、今回は『影の一部として取り込む』ことで転写絵を作りました。
今回のようなケースに限らず、消しゴムはんこ側として難しい表現は存在します。まったくできないわけではないのですが、『衣装の透過表現』『髪の毛が濡れている表現』などは消しゴムはんこ側にとっては難しい表現になります。
このブログの看板娘、ミヤマのオッドアイも難しい表現例の1つです。(どっちを『黒=彫り残し』として表現するか?)
茜の消しゴムはんこ内に安全圏を作ろう
茜の転写絵は、比較的広範囲に描写されています。現状、安全圏が作業台の上にしかありません。序盤は作業勝手が悪いでしょう。
茜の周囲を彫り終えたあとは後半の作業効率を考えて、彫り始める箇所を決めなければなりません。
基本的にはとにかく彫れば、彫り終わった場所が安全圏となって後半になるほど楽になりますが、一番しっかりと安全に彫りたい場所を考えて、彫る順番を決めましょう。
本記事及び動画では『顔』を最重要箇所を考えているので、顔が安全に彫れる安全圏の展開を考えます。
そこを踏まえて、まずは茜の髪から彫っていきましょう。
ここでは1つ注意点があります。それは、髪を全部彫らないということです。背中にかかる箇所だけ彫ればいいのです。
これだけの作業ですが、残作業エリアが縦長に残ることで、右側の安全圏が広くなります。彫る方向によっては、まだ茜の転写絵の線に手が触れるリスクは残っていますが、序盤の作業効率を上げることができます。
茜の腰から下のエリアを彫る
ここの作業は、銃の足に挟んでいる部分も含みます。
左側と下側が作業台の安全圏と接しているので、前項で指定した髪の一部よりか彫り易いでしょう。左下の未作業エリアが終わることで、残った茜の体も彫り易くなります。
茜の肩まで彫っていく
ここで一気に肩までの広範囲を彫っていくので大変そうに見えるでしょう。しかし、面積に惑われてはいけません。消しゴムはんこ全体の右下と左下が終わっているので、彫り易い向きで作業し易くなっています。
さらにここから肩まで彫れば、より安全圏が広がり、作業効率が上がってきます。
このように消しゴムはんこ作りでは、彫り進むことで変わっていく状況を把握・利用することで、安全に作業をすることができるのです。
腕の下の髪も忘れずに 茜の残りの未作業エリアを彫ろう
残ったその他パーツを含めて、茜の未作業エリアをここで彫り終えましょう。殆ど顔と髪だけの作業になります。髪のリボンが細かくて大変ですが、ここが終わればとくに難しい場所はないでしょう。
腕の下にある髪を見落とさないように、ここを先に彫ります。
ここまで来れば、安全圏の範囲に困ることはないので顔を彫りましょう。
この先は後ろ髪からリボンの順に彫り、髪の残りを彫れば、とりあえず茜の完成です。
茜のサラエ入れは腕から腋にかけて重点的に
不要な余白を切り離したあとは、彫り跡をサラエで均していきます。
今回の茜のようにバランスのよい線の配置だと、押印時の力による変形が少ないのでこの作業がなくても問題ないかもしれません。最低限のサラエ入れの場所を指示するなら、余白と腕から腋あたりには入れておきたいですね。
指示箇所と押印テストで見つかった不要部分だけ除去すれば、そこで完成としていいでしょう。
しかし今回は自己完結作品ではなく、支援作品として作っています。接触・破壊のリスクに注意して、サラエが入りそうな箇所はできるだけ仕上げました。
アホ毛が押しにくいよ茜ちゃん
実際に押してみてから判明したのですが、アホ毛と呼ばれる頭部のパーツが押しにくかったですね。消しゴムはんこ内の位置的に力を入れにくいのでしょう。
ここだけ意識して強めに押す必要がありますね。あえてこの周囲の余白だけは広く残してもよかったかもしれません。
支援作品の前提条件の壁
今後も機会があれば支援作品作りを目的として、原画借用の交渉範囲をpixivからニコニコ動画にも広めていきたいのですが、大きな問題があります。
それはVOICEROID実況動画独自の仕様上、使用イラストの権利が複雑だということです。
どういうことかというと、殆どのVOICEROID実況動画は『実況動画製作者』と『立ち絵(またはサムネ)』の制作者が違うのです。一般的なVOICEROID実況動画は、ニコニコ静画の素材に公開されている立ち絵を使用して作られています。
それなら借用時には『実況者』と『絵師』両方に確認をとればいいと思うでしょう。しかし、そんな簡単な話ではないのです。
素材に公開されている立ち絵は、人気の立ち絵になるほど多くの動画に使用されています。そのため、その素材イラストから作った消しゴムはんこでは、『だれのための作品なのか?』ということになるのです。
特定の動画を想定して作ったとしても、同じ絵が複数の動画に使用されているので、特定の人の支援作品としての存在が非常に弱くなります。
つまり、支援作品が作ることができるのは必然的に『オリジナルの立ち絵、またはサムネを使用している動画』に限られてきます。
ですがこれはこれで、難しいのです。この条件を満たしているお気に入りの実況動画があっても、実況者が連絡先を公開していなかったり、原画の公開箇所に『動画以外の使用を禁止します。』と記載されている場合は、そこで交渉中断になります。
そういった中では、今回の紅壱さんの茜ちゃんはかなり幸運なケースでした。pixivに原画公開されていたので、メッセージで連絡をとることができました。
キャプションに消しはん化へのペナルティが記載されていいなかったこと以外にも、消しはん化を受け入れて紅壱さんの懐の深さにも救われました。
今回限りで終わらずに、『誰かのための作品』を増やしていきたいので、きっかけをどう作るかが今後の課題になってくるでしょう。
最後に改めて、支援作品の制作を受け入れてくださった紅壱さんに感謝いたします。
講義動画はこちら
[YOUTUBE]
[ニコニコ動画]