ケモミミ消しゴムはんこ講座

消しはん屋看板娘のミヤマとカレンの作り方講座です。動画版もよろしくお願いします。

消しゴムはんこの作り方_実践編_第13回_紅壱さんの茜ちゃん(実況動画支援作品)

[今回のテーマ]琴葉茜(VOICEROID)

 

今回の作品はニコニコ動画で紅壱さんが投稿されている『【VOICEROID実況】茜ちゃんは「PUBG」で遊ぶようです』へのファンアート、ニコニコ動画的な表現をするなら『支援作品』です。

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[原画]

【ボイスロイド】「【VOICEROID実況】茜ちゃんは「PUBG」で遊ぶようです」イラスト/紅壱 [pixiv]

 

[支援先の動画]

www.nicovideo.jp

 

『支援絵』と呼ばれるファンアートの習慣がニコニコ動画にはあります。ただ、私の場合は絵ではないので、『支援作品』の表記のほうがしっくりくるでしょう。

 

原画となるのは正確には、2話目にあたる『2日目』に使用されているサムネです。転写絵作成に使用したデータは、pixivに投稿されていたものをお借りしました。

 

茜ちゃんのボディペイントをどう表現するか

 

今回の原画には、消しゴムはんこ側にとっては特殊な表現が含まれています。ボディペイント部分を消しゴムはんこ内でどう表現するかが、悩みどころでした。

 

素直に表現することも考えましたが、今回は『影の一部として取り込む』ことで転写絵を作りました。

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今回のようなケースに限らず、消しゴムはんこ側として難しい表現は存在します。まったくできないわけではないのですが、『衣装の透過表現』『髪の毛が濡れている表現』などは消しゴムはんこ側にとっては難しい表現になります。

 

このブログの看板娘、ミヤマのオッドアイも難しい表現例の1つです。(どっちを『黒=彫り残し』として表現するか?)

 

茜の消しゴムはんこ内に安全圏を作ろう

 

茜の転写絵は、比較的広範囲に描写されています。現状、安全圏が作業台の上にしかありません。序盤は作業勝手が悪いでしょう。

 

茜の周囲を彫り終えたあとは後半の作業効率を考えて、彫り始める箇所を決めなければなりません。

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基本的にはとにかく彫れば、彫り終わった場所が安全圏となって後半になるほど楽になりますが、一番しっかりと安全に彫りたい場所を考えて、彫る順番を決めましょう。

 

本記事及び動画では『顔』を最重要箇所を考えているので、顔が安全に彫れる安全圏の展開を考えます。

 

そこを踏まえて、まずは茜の髪から彫っていきましょう。

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ここでは1つ注意点があります。それは、髪を全部彫らないということです。背中にかかる箇所だけ彫ればいいのです。

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これだけの作業ですが、残作業エリアが縦長に残ることで、右側の安全圏が広くなります。彫る方向によっては、まだ茜の転写絵の線に手が触れるリスクは残っていますが、序盤の作業効率を上げることができます。

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茜の腰から下のエリアを彫る

 

ここの作業は、銃の足に挟んでいる部分も含みます。

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左側と下側が作業台の安全圏と接しているので、前項で指定した髪の一部よりか彫り易いでしょう。左下の未作業エリアが終わることで、残った茜の体も彫り易くなります。

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茜の肩まで彫っていく

 

ここで一気に肩までの広範囲を彫っていくので大変そうに見えるでしょう。しかし、面積に惑われてはいけません。消しゴムはんこ全体の右下と左下が終わっているので、彫り易い向きで作業し易くなっています。

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さらにここから肩まで彫れば、より安全圏が広がり、作業効率が上がってきます。

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このように消しゴムはんこ作りでは、彫り進むことで変わっていく状況を把握・利用することで、安全に作業をすることができるのです。

 

腕の下の髪も忘れずに 茜の残りの未作業エリアを彫ろう

 

残ったその他パーツを含めて、茜の未作業エリアをここで彫り終えましょう。殆ど顔と髪だけの作業になります。髪のリボンが細かくて大変ですが、ここが終わればとくに難しい場所はないでしょう。

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腕の下にある髪を見落とさないように、ここを先に彫ります。

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ここまで来れば、安全圏の範囲に困ることはないので顔を彫りましょう。

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この先は後ろ髪からリボンの順に彫り、髪の残りを彫れば、とりあえず茜の完成です。

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茜のサラエ入れは腕から腋にかけて重点的に

 

不要な余白を切り離したあとは、彫り跡をサラエで均していきます。

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今回の茜のようにバランスのよい線の配置だと、押印時の力による変形が少ないのでこの作業がなくても問題ないかもしれません。最低限のサラエ入れの場所を指示するなら、余白と腕から腋あたりには入れておきたいですね。

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指示箇所と押印テストで見つかった不要部分だけ除去すれば、そこで完成としていいでしょう。

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しかし今回は自己完結作品ではなく、支援作品として作っています。接触・破壊のリスクに注意して、サラエが入りそうな箇所はできるだけ仕上げました。

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アホ毛が押しにくいよ茜ちゃん

 

実際に押してみてから判明したのですが、アホ毛と呼ばれる頭部のパーツが押しにくかったですね。消しゴムはんこ内の位置的に力を入れにくいのでしょう。

 

ここだけ意識して強めに押す必要がありますね。あえてこの周囲の余白だけは広く残してもよかったかもしれません。

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 支援作品の前提条件の壁

 

今後も機会があれば支援作品作りを目的として、原画借用の交渉範囲をpixivからニコニコ動画にも広めていきたいのですが、大きな問題があります。

 

それはVOICEROID実況動画独自の仕様上、使用イラストの権利が複雑だということです。

 

どういうことかというと、殆どのVOICEROID実況動画は『実況動画製作者』と『立ち絵(またはサムネ)』の制作者が違うのです。一般的なVOICEROID実況動画は、ニコニコ静画の素材に公開されている立ち絵を使用して作られています。

 

それなら借用時には『実況者』と『絵師』両方に確認をとればいいと思うでしょう。しかし、そんな簡単な話ではないのです。

 

素材に公開されている立ち絵は、人気の立ち絵になるほど多くの動画に使用されています。そのため、その素材イラストから作った消しゴムはんこでは、『だれのための作品なのか?』ということになるのです。

 

特定の動画を想定して作ったとしても、同じ絵が複数の動画に使用されているので、特定の人の支援作品としての存在が非常に弱くなります。

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つまり、支援作品が作ることができるのは必然的に『オリジナルの立ち絵、またはサムネを使用している動画』に限られてきます。

 

ですがこれはこれで、難しいのです。この条件を満たしているお気に入りの実況動画があっても、実況者が連絡先を公開していなかったり、原画の公開箇所に『動画以外の使用を禁止します。』と記載されている場合は、そこで交渉中断になります。

 

そういった中では、今回の紅壱さんの茜ちゃんはかなり幸運なケースでした。pixivに原画公開されていたので、メッセージで連絡をとることができました。

 

キャプションに消しはん化へのペナルティが記載されていいなかったこと以外にも、消しはん化を受け入れて紅壱さんの懐の深さにも救われました。

 

今回限りで終わらずに、『誰かのための作品』を増やしていきたいので、きっかけをどう作るかが今後の課題になってくるでしょう。

 

最後に改めて、支援作品の制作を受け入れてくださった紅壱さんに感謝いたします。

 

講義動画はこちら

[YOUTUBE]

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[ニコニコ動画]

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消しゴムはんこの作り方_実践編_第12回_漣(艦隊これくしょん)

[今回のテーマ]漣(艦隊これくしょん)

 

今回のテーマは、『艦隊これくしょん』の『漣』です。原画は、『むい』さんからお借りしました。

【艦これ】「漣」イラスト/むい [pixiv]

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 『艦隊これくしょん』をプレイしたことがある方、または現役プレイヤーならお馴染みのキャラクターでしょう。ゲーム開始直後に選択できる初期艦娘の1人です。

 

初期艦娘の能力にほぼ差はないと言われていますが、初期艦娘組の中で唯一、プレイヤーのことを『提督』ではなく『ご主人様』と呼んでくれるインパクから、それがきっかけで選択した人もいるのではないでしょうか。

 

ちなみに私が選んだ初期艦娘は『叢雲』でした。現在秘書艦娘として設定するのは、とくに変更する理由がなければ『時雨改二』がデフォとなっています。

 

まずは漣の背景(外周)から

 

背景に『漣』の文字もあるのでこれも彫りますが、漣本体よりも少し離れていいるので、 一度文字はスルーして漣本体の周囲を彫り込みます。

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漣本体が彫り終われば、次は文字の漣です。文字を囲むように彫ったあと、文字の細かい部分を仕上げるといいでしょう。余白エリアの表面も落としていきますが、明らかに不要な上下の余白までは彫る必要はありません。

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今回の動画では撮影の邪魔になるので、背景を彫った後に切り離しています。

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漣の左右に安全圏があることを意識しよう

 

漣本体の転写された線だけを見ると大変な彫りこみに思えるでしょう。しかし、今回は余白に恵まれたラッキーパターンになります。残作業エリアの面積ばかり見るのではなく、周囲もよく観察しましょう。

 

すると左右に縦長の安全圏が見えてきます。見落としがちですが、『漣』の文字もここでは彫り終わっているので安全圏になります。

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これはどういうことかいうと、『下側から上側』に向けて彫りこむ場合、『正位置』『逆位置』『反時計周りに90°』(※左利きの場合は時計周り)のセッティング位置から彫り易いということです。

 

本ブログ及び動画では『下側から上側』に彫り進むことを推奨しているので、都合のいい安全圏配置から始まるパターンになっています。

 

漣のスカートと左腕から彫り始めよう

 

まずは漣のスカートと左腕(※反転しているので、原画では右腕)を彫っていきます。

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腕を先に彫ってしまえば、あとはスカートを転写した線通りに彫っていくだけです。細かい線もここにはありません。

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今回はそもそもラッキーパターンなので、作業方向で悩むことは少ないと思います。

 

漣の首までいっきに彫ってしまおう

 

基本的な彫り方が出来ている人なら、彫り方そのもので特筆することはとくにありません。影について少し追記事項がありますが、それは後の項目で説明します。

 

順番を深く考えなくてもできますが、一応、本ブログ及び動画の推奨方向で彫りましょう。下から上へ彫り進めます。決まった流れで作業しておくと、彫り忘れに気づきやすいからです。

 

さらに細かく言えば左右は利き手方向優先で彫ることを推奨しています。ですが、今回に限っては安全圏の配置にも恵まれているため、左右は彫り易い箇所から彫ってもあまり難易度は変わらないでしょう。

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 首まで彫れば残りは、漣の顔と髪だけです。

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 残作業エリアの漣の顔と髪を彫る

 

ここもとくに特筆することはないでしょう。しいて言えば、眉毛に細かい表現があることくらいです。ここを気をつければ、あとはいつも通り彫れば問題ありません。

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いきなり実践編の記事及び動画から見て、細かい箇所の彫り方が分からない場合は、『基本編』の記事及び動画を見ることをオススメします。

 

漣の彫り跡の均しは簡単でOK

 

漣本体を彫り終えたら、不要余白をカット後に彫り跡の凹凸を均す作業に入ります。しかし、今回はこの作業をしなくても、押印テストで不要な線が出なければOKとしてもよいでしょう。

 

本来この作業は、押印時にかかる力で押し出された凹面の彫り跡の突起が接触し、不要な線となって映るのを防ぐのが目的です。

 

今回の漣のように、押印面となる凸部がバランスよく配置された線になっている場合は、押印時にかかる力が安定するので不要です。

 

ただ、消しゴムはんこの端に近い箇所を押してしまうと『跳ね』てガタいた線が映ることも考えられるので、周囲の余白だけは簡単にとっておくといいでしょう。

 

ビジュアル的に気になる場合は追加でも仕上げてもいいですが、無理のない範囲でサラエを入れてください。

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それよりも問題なのは、彫り残しエリア(影)が多いので気泡の入る心配があるということです。

 

インクを馴染ませるには何度が押すのが手っ取り早いので、1枚目は破棄する前提で適当に押したほうがいいでしょう。画像用に欲しいポストカードは、何枚か押した中から見栄えがいいものを選びます。

 

実際に今回の漣の消しゴムはんこでは、1枚目をあえて破棄し、3枚押した中から見栄えの用意ものを選んで画像を撮りました。

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漣を彫り終えた後に気づいた影の失敗

 

今回の漣を彫る過程で、何度か影を修正しています。原因としては『影の方向的に不自然な違和感を感じた』『影のつけ忘れ』の2パターン がありました。

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どちらも共通するのは、『違和感を感じて確認したら、不自然な箇所に気づいた』ということです。違和感を感じる箇所は、ほぼ確実になにかミスがあります。放置して進めずに、必ず確認しましょう。

 

しかし残念なことに、影に関するミスもありました。

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首元近く手の上側、ここを微妙に彫ってしまったのが今回のミスです。彫っていた時には影に強弱をつけたつもりだったのですが、ポストカードで確認したら、謎の空間となってしまったのです。

 

中途半端な影をつけた為に、逆に不自然になってしまった失敗例です。このような場合は、手の上側(指)ごと影で塗りつぶしてしまったほうが、影の方向的にも自然に見えたと思います。

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影というのは不要な量をつけるのもそれはそれで問題ですが、つけるなら思い切ってつけてしまった方が自然に見えるようですね。 

 

講義動画はこちら

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消しゴムはんこの作り方_実践編_第11回_大鯨(艦隊これくしょん)

[今回のテーマ]大鯨(艦隊これくしょん)

 

今回原画として使用するのは、『asimo953』さんのpixiv投稿作品『ねむたいげい(ワンドロ)』です。

【艦これ】「ねむたいげい(ワンドロ)」イラスト/asimo953 [pixiv]

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イラストの大きさを専用消しゴムに合わせた感じでは、もう少し簡略化すればはがきサイズから、はがきハーフサイズでも可能だったかもしれません。

 

ですが、借りた絵である以上は作り込みをしっかりしたいと思い、はがきサイズを使用ることにしました。今後もよほど例外的な作品でないかぎりは、基本的にはがきサイズの専用消しゴムを使用します。

 

安全圏に囲まれて始まる大鯨の消しゴムはんこ作り

 

今回の大鯨はもともとの描画範囲が狭いこともあり、周囲にある程度の安全圏が存在した状態で作業が始まります。

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転写した線への接触には注意が必要ですが、いつもほど神経質にならくていいと思います。

 

安全圏を広げつつ、順番を考えて彫り進めていくのはいつも通りです。正直、これくらいのサイズだとシビアに順番を考えても意味はないのですが、違和感がないようにセオリー通りに進めていきます。

 

また、動画では画像撮影の都合上、大鯨上下の余白を最初にカットしています。(本来なら、終盤の余白カットで一緒に切り離します。)

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大鯨の背景を文字ごと彫っていこう

 

最初は大鯨の周囲を文字ごと彫っていきます。『Z』と『たいげい』の文字は、周囲をざっくり彫ってから細かい作業をしましょう。過去動画にもある通り、ある程度範囲を狭めてから彫り込むほうが精神的に楽です。

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 泡?のような背景も同様に彫ります。

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余白に関しては深く考えず、表面を落とす程度に簡単に彫っておきます。凹凸の均しを終盤の不要余白カットに行うので、ここで丁寧に仕上げる意味はありません。

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大鯨の抱きしめた鯨を彫ろう

 

先ほども言いましたが、今回ほど描画範囲が狭い場合にはどこから彫っても大きな差はありません。でもここは、セオリー通り利き手側からということで、大鯨の抱きしめた鯨を彫っていきましょう。

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一番右側の出っ張ったパーツを彫ったら、尾ひれ→頭(顔?胴体?)→残りのパーツと彫って鯨を完成させます。細かいパーツは鯨の目くらいでしょう。

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開始直後から安全圏がある程度存在していたので、そこまで恩恵を感じないでしょうが、これでほぼ右半分が安全圏として追加されます。

 

鯨が終わったら大鯨本体の作業へ

 

鯨の次は大鯨本体を・・・ここもとりあえずは、顔と髪以外をセオリー通りに下側から上側へ彫りこんでいきます。

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大鯨の服装まで彫り終われば、未作業エリアで細かい作業をする場所はもうないと思います。

 

このような箇所を彫る場合、私は影の位置や量を調整しながら彫っていきますが・・・個人的な拘りや感性による変更という意味合いが大きいので、慣れない方は転写絵通りに彫っても問題ありません。

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ここまでくればあとは、大鯨の顔と髪だけです。

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動画版では2人が余計なことをやっていますが、普通に彫っても何も変わりません。

 

大鯨のサラエ必要箇所はわかり易い

 

終盤は不要な余白カットからのサラエ入れになります。よほど彫り跡の見た目を気にしない限りは、余白のサラエが入りそうな箇所と鯨の頭?(顔?胴体?)の面積が広い箇所を均すだけでよいでしょう。

 

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あとは押印テストで、不要な接触があった凸部だけ除去してください。もとが小さいので、少しでも手が滑ると簡単に押印面を壊してしまいます。サラエ使用時にはあまり勢いをつけないようにしましょう。

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大鯨の消しゴムはんこ作りの反省点

 

今回の大鯨は、鯨をぎゅっと抱きしめている感じを表現したくて、懐の影を濃くしてみましたが・・・大鯨と鯨の境界線が曖昧になった気もします。

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だからといって、主線をはっきり彫りすぎると抱き寄せる力が弱いようにも思いました。

 

境界線を無視してあえて濃い影を作る手法もあるので間違いではないのですが、もう少し境界線を意識して影をつけるべきだったかなと思います。

 

影の中の主線を彫り彫りこむ方法もあります。ですが、逆彫り(主線を凸でなく凹にする)は失敗すると間抜けな線に見えるので使いどころが難しいのです。

 

原画の構図や雰囲気によっても向き不向きな手法があるので、それらも考慮してより良い表現法を考えていきたいですね。

 

講義動画はこちら

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消しゴムはんこの作り方_実践編_第10回_瑞鶴(アズールレーン)

[今回のテーマ]瑞鶴(アズールレーン)

 

今回原画として使用するのは、『びーびー』さんのpixiv投稿作品『瑞鶴』です。

 

【アズールレーン】「瑞鶴」イラスト/びーびー [pixiv]

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スマホゲーム『アズールレーン』に登場するキャラクターで、実在した空母『瑞鶴』がモチーフになっているキャラクターです。

 

アズールレーン』では日本艦をモチーフにしたキャラクターは、ケモノ耳や妖魔のような角が身体的特徴として表現されていることが多い中、瑞鶴はキャラクター本体のデザインが限りなく生身の人間に近いデザインになっています。

 

着物はよく見ると、鶴の羽模様のようなものが描かれています。これは姉妹艦をモチーフにした『翔鶴』も同じです。残念ですが今回は、はがきサイズの専用消しゴムに収めるために、鶴の模様の最も目立つところをカットすることになりました。

 

今回の原画は萌え要素というよりも、カッコよさが重視されたデザインだと思います。

 

瑞鶴に混在する濃度の異なる影への対処

 

まずはいつも通り転写絵を作るのですが・・・濃い影と薄い影が混在しているので、1色のインクでこれをどう表現するか悩みました。

 

通常、転写絵への影付け作業は原画のまま行うと主線の境界線が分からなくなるので、根本的に配色を考えなおします。しかし今回は、ただ配色をやり直すだけでは難しそうです。

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そこで今回は、『影が全体的に濃く存在する』と考えて配色しました。

 

現実的に彫りにくい線や模様を省略するほか、このように『発想を変える』=『仮定する状況を変える』ことで、はんこ化を可能にしていくのも方法の1つではないでしょうか?

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瑞鶴の彫り始めは安全圏がない!?

 

専用消しゴムに転写された転写絵を見てもらえれば分かる通り、今回は構図の関係でかなり多くの線が消しゴム内に描きこまれています。とくに上と左側がかなり詰まっています。

 

正位置で消しゴムが動かないのなら、(右利きにとって)常時右側が安全圏になりますが、現実問題、彫り易い方向に消しゴムを回転しながら作業するので、常にここの安全圏は使えません。

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ここまで絵がびっしり詰まっている状態で安全圏を考えて彫るのは難しいです。しばらくは安全圏がないものとして、彫り易い場所から彫りましょう。とにかく彫り終わったスペースを広げていきます。

 

安全圏が封印された中での作業になるので、いつも以上に転写した線に手をつかないように注意してください。

 

比較的広い右下から彫るのが彫りやすいでしょう。文字は面倒ですが、大きさ的に難しくはないので最初にこれも含めて作業します。

 

文字を彫る場合は文字周辺を簡単に彫って、見た目の作業残り範囲を狭めておくと作業し易いです。文字周辺を彫るときには、文字から逃げすぎないように。少し攻め過ぎるくらいがちょうどいいです。

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文字の中については、ここではあまり神経質にならずに『とりあえず中を彫った』程度でいいです。あとでインクをつけるまえに、トレーシングペーパーの転写絵を裏返して形状をよく見ながら、『トメ』『ハネ』を仕上げます

 

実際、私も今回は押印テスト前にこの方法で仕上げています。

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なので現時点で優先するのは、『作業済みエリアを広げる』ことです。消しゴムの右側を全体的に彫り進めていきましょう。

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瑞鶴の右側にできた安全圏を使って作業を続けよう

 

ある程度まで彫りこむと、画像のような安全圏が見えてきます。瑞鶴の右側・・・消しゴム全体の約半分が安全圏として利用できます。

 

※左利きの場合は瑞鶴本体から彫るか、180°回転させた状態を正位置としたほうが作業し易いかもしれません。(180°回転=瑞鶴の文字が左側にくる)

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消しゴムのはんこの左側、作業台の上も安全圏なので、左右に縦長の安全圏ができたことになります。

 

この先は足から顔に向けて彫っていくことにしましょう。部分先行しないように均等に・・・と言っても現実問題難しいので、迷ったら右側のパーツ優先で彫り進めていくことにします。

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安全圏が周囲にできた瑞鶴の本体

 

消しゴム下側から彫り進めていると、今度は瑞鶴を囲むように安全圏ができてきたことに気づくでしょう。比較的描画範囲の狭い原画から作る作品では、よくみかけるパターンですね。

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画像の未作業エリアから考えると、左腕と下半身を彫ってしまえば、より広い安全圏が周囲にできることになります。

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ここまでわかり易い安全圏が広がってくると、作業性も良くなり、気分的に楽にもなってきたと思います。

 

あとは『慢心からの失敗』に注意して残りの未作業エリアを彫っていきましょう。

 

殆どサラエのいらない瑞鶴の仕上げ

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一通り終わった後はサラエで仕上げるのがいつものパターンです。けれども今回は、不要な押印カ所を出してしまうほどの広い面積のパーツが殆どありません。

 

押印時の圧はほぼ均等に広がり易いと思います。今回のサラエ入れは、瑞鶴の文字周辺の余白以外なくても問題ないかもしれませんが・・・予想外な凸部が生き残っているかもしれないので、押印テストでの確認作業はした方がいいです。

 

私の場合は見た目的に気になる場所は均しました。ここまでする必要はありません。見た目を気にした追加作業の場合は、瑞鶴の線を壊さない程度にサラエを入れていきましょう。(要約:無理して壊ちゃダメ)

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瑞鶴の押印は気泡注意

今回は『影』=『彫り残しの多い』作品です。このようなケースだと彫り残し部分に気泡が貯まりやすく、押印したポストカードに気泡の跡が出てしまったり、インクの濃度にムラがでてきます。

 

基本講座に出てきた『エア抜き押印』も有効な手段ですが、もう1つの対策として『何度か捨て押印をする』のも有効です。何度かインクを塗り直すうちに、インクが消しゴムはんこの表面に馴染みやすくなります。

 

インク濃度が安定してきてから、本番の押印といきましょう。

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ただ、この手の作品は丁寧に押しすぎるよりも、あえてムラが少し残った方が雰囲気がでるのではないかと思います。

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 安全圏をなかなか出してくれなかった瑞鶴

 

今回の瑞鶴は、安全圏をある程度作るまで時間がかかりました。彫り慣れていない人は、何度か手をついて線を消してしまうかもしれません。

 

私でも未だに『あ・・・いまの触ったかな?』と思うことがあります。でも、触れても『線が完全に消えなければ』続行は可能です。

 

『触れた』と思った場合は焦らずに真上に腕を上げます。そうすることで被害を軽減できることがあります。軽くこすってしまった場合でも線が薄くなった程度なら、転写絵か原画を見て鉛筆で引き直せます。

 

大きなミスが起きそうになったときほど落ち着きましょう。思っていたほど被害がでていなかったこともよくあります。

 

それでも、もうどうにもならない状態になることもありますが・・・そういうときは、時間や日を置いて、落ち着きを取り戻してから作り直しましょう。

 

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消しゴムはんこの作り方_実践編_第9回_フェネック(けものフレンズ)

[今回のテーマ]フェネック(けものフレンズ)

 

今回原画として使用するのは、『ぱてくらー』さんのpixiv投稿作品『やあやあ』です。通称『ばすてきコンビ』とよばれるコンビの片割れのフェネックですね。(相方は『アライグマ』)

 

【フェネック(けものフレンズ)】「やあやあ」イラスト/ぱてくらー [pixiv]

 

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ファンからアニメ二期が待ち遠しいと思われている中、スマホゲームで配信されている『けものフレンズ パビリオン』も大人気のようです。

 

フェネックの左腕がいきなりの難所

 

外周が彫り終わったら、フェネック本体で最初に彫る場所は左腕(※)です。 細かい影のある難所ですが、右下の安全圏を作りたいのでここから作業します。

 

(※反転しているので、本来は右腕です。)

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影が障害物となって、一度に彫れる面積がかなり制限されます。今回の作業のなかで最も時間がかかる箇所です。面倒ですがここさえ先に終われば、残りの作業は左腕よりも難易度の低い箇所しかないと思います。

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フェネックの服を思い切って彫ってしまおう

 

左腕を彫り終えたら、襟を除いたフェネックの服を彫ってしまいましょう。広範囲な作業になります。

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最初にある程度外枠をデザインナイフで彫りこんで、そこを境界線に彫刻刀を入れていくと彫り易いでしょう。このとき、直接大きな彫刻刀を入れるよりも、小さめの彫刻刀で境界線の彫りこみを広げておくと安全に作業できます。

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勢いあまって、彫刻刀でフェネックの線を切らないように注意しましょう。固めの専用消しゴムを使用していると、接触してヒヤリとするだけで助かることがあります。

 

硬めの保険の有無に関係なく、境界として彫った線を超えないように力加減に注意が必要です。とくにこのような広い場所では、勢いがつきやすいのです。境界線近くで一度彫刻刀を止めて、そこからゆっくり境界線まで彫りましょう。

 

 フェネックの襟から首元まで

 

ここも細かい場所ではありますが、先に左腕を彫っていればそこまで難しくは感じないと思います。

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基本的な要領は左腕と同じです。他に特筆することはないので、参考の作業過程画像を貼りつけておきます。

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フェネックの顔と耳と耳?

 

ここも彫り方に関して特筆することはないのですが、けものフレンズの設定を知らない人にはちょっと不思議なことが起きているでしょう。『なんでケモノの耳と人の耳があるの?』と思った人の為に、簡単に解説します。

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過去作品のアルパカ・スリのときには人の耳は髪で隠れていたので、このことには触れていません。ですが本来、サンドスターと呼ばれる謎の物質との接触によって生まれたフレンズはこのように、ケモノと人の特徴を持っているのです。

 

そもそもフレンズとは何か?動物や動物の死骸にサンドスターが接触することによって生まれる生命体のことです。理由はわかりませんが、メスの個体のみが誕生するようです。

 

メス個体しかいないのですが、『ライオン』や『クジャク』のようにオスの特徴をもつフレンズも劇中に登場しましたね。また、フレンズの名称ですが、シリーズによっては『アニマルガール』と記載されているものもあります。

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フレンズの設定については考察本もでているので、そちらを見た方がより分かり易いですね。

 

ちなみにケモノ耳や毛皮を模したコスチュームは『体の一部』ではありますが、『脱げる』と認識すれば脱着が可能なようです。

 

フェネックの凹凸均しは全体的に見ていこう

 

バストアップの作品だと稀に、今回のように全体的な確認が必要なケースがあります。サラエが入りそうな箇所はとりあえず、壊さない程度に均します。

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押印テストで不要な凸部が映らないこと確認しながら、下の画像程度に均せば完成としましょう。

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フェネックを作り終えて

 

ある程度慣れていることが前提になりますが、左腕以外には特に難しい場所はなかった感じです。フェネックの公式コスチュームがフレンズの中では、比較的シンプルなデザインだったのもあるでしょう。

 

そのデザインが最後にちょっとした罠となって、全体的なサラエ入れを確認することになりますが・・・。バストアップ作品は今回のように、原画(原作)のデザインによっては個々の面積が広くなり、全体的な均しが必要になります。

 

細かい作品はそれはそれで面倒ですが、最後のサラエを入れる場所は少ないのが楽ですね。

 

作品の細かさに関係なく、楽な箇所と面倒な箇所は混在します。なので作品全体の大きさが同じなら、結果的に仕上げまでの総合時間はあまり変わらないのです。

 

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『ミヤマ』&『カレン』の画像展示室(ケモミミ消しゴムはんこ講座の看板娘)

桐缶さんに描いて頂いた、ミヤマ&カレンの関連画像をこちらにまとめました。桐缶さんのプロフィールへのリンクから下に順次追加します。画像の追加は、不定期です。

 

どっちが誰か分からなくなった方は、『小柄』のほうが『ミヤマ』と覚えてください。

 

www.pixiv.net

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消しゴムはんこの作り方_実践編_第8回_ネロ・クラウディウス(Fate/GrandOrder)

[今回のテーマ]ネロ・クラウディウス(Fate/GrandOrder)

 

今回原画として使用するのは、『サムーれ』さんのpixiv投稿作品『ネロ・クラウディウス(Fate/GrandOrder)』です。

【Fate/GrandOrder】「赤セイバー」イラスト/サムーれ [pixiv]

 

Fateオールスター集合のスマホゲーム『Fate/GrandOrder(通称FGO)』へは、『Fate/EXTRA』シリーズからの参戦キャラクターです。

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 通称『赤王』『赤セイバー』の他、とあるシリーズで使用したコスチュームから『嫁王』『嫁セイバー』などとも呼ばれているキャラクターになります。

 

ちなみに声優は『カードキャプターさくら』の『木之本桜』と同じ『丹下桜』さんです。とある新作発表会にて、ネロに『嫁セイバー』の通称を名付けたのもこの人です。

 

花びらの背景をどう作り上げるか

 

背景込みの作品という点では、前回のハサンと同じです。しかし、今回は花びらなので、パーツの面積狭い背景が点在しているという違いがあります。

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ハサンのときよりも広い余白が有りそうに見える罠にも注意してください。実際は点在する花びらを壊さないように慎重に彫り進める必要があるので、ハサンのときの背景よりも時間がかかります。

 

背景を含めたネロの外周を彫るついでに、花びらはここで彫っておきましょう。先に花びらの外周を彫って境界線を作り、彫刻刀で余白エリアを彫ると安全に作業できます。

 

動画では彫り忘れた花びらがあります。これは近くを彫っているときに気がついて、ついでに彫りました。(動画撮影中は近くを彫るまで気づきませんでした。)

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『難所』手前のネロのスカートから彫ろう

 

今回、私が難所として指定した箇所は2カ所あります。1つは先ほどの花びらの背景なのでもう終わっています。もう1つは近くまで作業してから説明するので、ここではとりあえずネロのスカートを彫っていきましょう。

 

ここは基本編の記事・動画のセオリー通りなので、基本ができている方にとっては簡単な箇所です。なので、画像でザックリとしか説明しません。

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 ただし、下記画像で指定した箇所は最後に彫ってください。

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他に特記すべきことはないので、ネロのスカートを彫りましょう。

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さて、2つめの難所がこの先に隠れています。『ネロ・クラウディウス』の『デフォルトコスチューム』ならではの難所です。消しゴムはんこ特有の難所』という言い方もできます。

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まずは下記画像で指定した箇所の周囲を彫ります。この構造の名称はわかりません。

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ネロの胸から下のエリアの指定した箇所以外を彫ります。

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画像で注意している通り、残す線の強度を考えて、『基本のV型カット及び台形断面』の基本を守りましょう。そしてここからが、今回のネロ・クラウディウス編の2つめの難所にして『最大の難所』になります。

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ネロ・クラウディウスに隠れたAsymmetryの罠

 

消しゴムはんこに彫られたキャラクター』と『原画のキャラクター』の絵はお互い『対称』になる。これを頭に入れてこの先の説明を聞いてください。

 

先ほどスルーした箇所を彫る前に、転写絵を描いたトレーシングペーパーの難所が描かれた箇所をもう一度、原画と比較して間違いがないか確かめます。

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消しゴムはんこに写した線でも確認できなくはありませんが・・・直接消しゴムはんこに写した絵で確かめるということは、『対称に描かれた原画(※1)』と比較することになります。つまり、間違えやすい確認方法になります。

 

(※1_正しくは原画が正位置で、消しゴムはんこが反転の関係。)

 

対称パーツが単純な構造、あるいは反転しても構造の変化しないSymmetry(対称)ならつ直接確認しても間違いは少ないでしょうが、今回のように交差方向がある紐のようなパーツは間違えやすいです。

 

安全策として『そもそも転写絵が間違っていないか?』の確認をしましょう。当然ですが、彫ってから気づいてはもう修正できません。

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キャラクター全体像を見ているときには、キャラクターのイラストそのものが対称として成り立っているので『反転絵状態で作業する危険』を意識するのですが、パーツ単位で彫るときにはその考えが抜け落ちてしまうことがあります。

 

原因の1つとして、パーツ単位でみると『(※2)対称』『非対称』の混在があるため、無意識に間違えてしまうことが考えられます。

 

(※2_キャラクターイラストにおいてパーツ単体の完全対称は滅多にないので、脳内の対称処理が『わかり易いパーツ』と『わかり難いパーツ』の混在と表現するほうが正しいと思います。)

 

これは今後も出てくる可能性のある消しゴムはんこ特有の難所』なので、これを機会に改めて意識しておきましょう。

 

難所を超えたら残りの腕と胸を彫ろう

 

この先には難所という難所はないと思っていいでしょう。油断しないように注意して続行します。

 

ネロの顔と髪以外を彫り終えたいので、右腕→胸(首まで)→左腕の順で彫ります。

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胸を彫る前に、右手の影を追加しました。意図的な誤字は、ブログ記事としては気にしないでください。

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影の追加後は、順番通り右腕まで彫っています。

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毎度のことですが・・・ブログでは動画に使用した画像を抜粋しているので、ミヤマとカレンの会話内容が欠けています。この2人の会話内容が気になる場合は、動画で確かめてください。

 

ついでに後ろ髪のリボンもここで彫りました。

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順番的にシビアなパーツではありません。個人的に利き手側に少し出ていたのがきになったので先に彫りました。髪のついでに彫るか、最後に彫ってもいいでしょう。

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決めろ!!アホ毛フィニッシュ!!

これで残りはネロの顔と髪だけです。あえてアホ毛を残していつも通りに彫っていきました。

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 ネロ本体の仕上げに、遊び心で『アホ毛フィニッシュ』を狙います。

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アホ毛を彫って決めようと思っていましたが・・・・残念ながら彫り残しが発覚したので、『アホ毛フィニッシュ』は失敗となりました。

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画像撮影時にはアホ毛を彫ったあとにこの彫り越しに気づいたので、順番を入れ替えることができませんでした。

 

ネロ・クラウディウスの彫り跡の注意箇所

ネロ本体を彫り終えたところで、不要な余白を切り離します。

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背景を含めたネロの彫り跡で、不要な接触になりそうな凹凸を均します。今回、彫り跡を優先して均しておきたいのは下記画像のマーキング箇所です。

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背景の花びらとネロ本体の線を壊さない程度にサラエを入れて仕上げます。

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押印テストで不要な押印カ所の発生がなければ、完成です。

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何度経験してもヒヤヒヤしたネロの難所

ネロ・クラウディウスのデフォルトコスチュームVerを彫ったのは今回が初めてではありません。ミヤマとカレンの動画ができる前から、何度か経験したことがあります。

 

それぞれ原画をお借りした絵師は異なりますが、何度彫ってもあの難所は失敗しそうで怖い箇所です。過去には危うくクロス方向が一カ所逆のまま彫りそうになったことがありました。

 

このように消しゴムはんこ作りでは、原画が反転された消しゴムはんこ上で作業する特有の間違えやすいトラップが存在します。

 

転写絵は原画を正位置でなぞるので間違えないを思う人もいるかもしれません。けれども人間というのは勘違いして描いてしまうことがあるのです。なので今回のように紛らわしい方向性のあるパーツは、転写絵の段階でしっかり確認しましょう。

 

基本的に消しゴムはんこ作りには、リカバリー手段の存在しません。彫り間違えたあとで気づくことがないように、パーツ単位で彫る前にも、もう一度、正しい線が描かれているか確認してください。

 

また、薄くなった線や途切れた線も間違いの原因になるので、できるだけ引き直しましょう。

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